第312章 【312】イケメン、一晩いくら3

夏野暖香は反応して、急いで逃れようとしたが、南条陽凌がそんな機会を与えるはずもなく、指先で彼女を強く弄び、もう一方の手で彼女の顎を押さえ、すぐにキスをした。

熱く絡み合うキスに、夏野暖香は思わず小さな声を漏らし、敏感な体が震えた。南条陽凌は意地悪く彼女を噛みながら、耳元で甘く囁いた。「安心して、俺の能力なら、お前を満足させるのは余裕だからな！」

夏野暖香：……

……

別荘の入り口。

夏野暖香と南条陽凌が車から降りると、執事が言った。「帝様、若奥様、綾瀬さんがいらっしゃいました。」

夏野暖香は一瞬驚き、南条陽凌を見た。

南条陽凌も同様に驚いていた。

「なぜ事前に電話をしなかったんだ？」

「綾瀬さんは若奥様を訪ねてこられました。若奥様にお電話すると言いましたが、綾瀬さんは撮影の邪魔になるのを恐れて、どうしても許してくれませんでした。」

夏野暖香はうなずいた。「わかりました。」

中に入ると、南条慶悟がソファに一人で座っており、芸子がそばで仕えていた。

物音を聞いて、芸子はすぐに迎えに来た。「若様、若奥様、お帰りなさいませ！」

「栞？」夏野暖香は笑顔で前に進み、「どうして来たのに電話もしなかったの？」

南条慶悟は立ち上がり、南条慶悟と夏野暖香が一緒に帰ってきたのを見て、少し驚いた様子だった。

「お兄さん……出張じゃなかったの？」南条慶悟は少し緊張した様子で尋ねた。

夏野暖香はそこで気づいた。南条慶悟の目は赤く、泣いたようだった。髪は簡単に後ろで半分まとめられ、ベージュのセーターを着て、全体的に疲れた様子に見えた。

南条陽凌は妹の様子を見て、眉をひそめた。「どうしたんだ？健太がお前を苦しめたのか？」

そばの使用人が急いで前に出て、南条陽凌が脱いだ上着と夏野暖香のハンドバッグを受け取った。

「私は……違うわ、健太のせいじゃないわ！」南条慶悟は急いで弁解し、顔を横に向けた。「ただ外で目にゴミが入っただけ……」

夏野暖香は南条慶悟の様子を見て、何かを思い出したように、心が沈んだ。

もしかして健太が……

そう思うと、夏野暖香は突然言葉にできない感情を抱いた。

特に目の前の南条慶悟に対して。

「本当か？」南条陽凌は信じておらず、南条慶悟を見つめた。「もし橋本健太がお前を傷つけたなら、俺は許さないぞ！」