第314章 【314】イケメン、一晩いくら5

「帝、帝様……私……私はすぐに見てきます!」運転手は慌てて言った。

しばらくして、運転手は震える手で南条陽凌に電話をかけた。

「帝、帝様……若奥様と綾瀬さんは二人とも酔っぱらって、レストランで暴れています……」

「なんだって——!?」南条陽凌は顔を曇らせ、椅子から飛び上がった。

……

レストランの中。

夏野暖香はふらふらしながら、横にいる清楚な顔立ちのウェイターを引っ張り、一方ではウェイターの口元にお酒を注ぎながら、大笑いして言った:「ほら……飲んで!お姉さんと一緒に飲みましょう……」

ウェイターは体も顔もお酒で濡れ、困り果てた表情で:「お嬢様……もう飲まないでください……ご家族に電話させてください……」

「しーっ……」夏野暖香は潤んだ目でウェイターを見つめた:「喋らないで……」

そう言いながら、グラスを持ち上げ、残りの半分を一気に飲み干した。

一方、南条慶悟は、あっさりとウェイターを床に押し倒した。

ウェイターの上に跨って:「この野郎!本お嬢様の命令に従わないとは!飲め……飲めと言ってるの……」

「お嬢様……このお嬢様……離してください……」ウェイターは体格が弱くはなかったが、南条慶悟はテコンドーの経験者だったため、ウェイターが南条慶悟を押しのけて二歩逃げ出したところで、腕を掴まれ、そのまま背負い投げをくらった。

ウェイターは歯を食いしばって痛みに叫んだ。

「お嬢様はあなたでしょ!あなた……あなたの家族全員がお嬢様よ!」南条慶悟は髪を乱し、怒りながら罵った。

横にいた運転手はこの光景を見て、完全に呆然としていた。

そのとき、背の高くすらりとした人影が個室に現れた。

夏野暖香が逃げようとしているハンサムなウェイターを抱きしめて離さず、さらに一緒に飲むよう促している様子を見て、南条陽凌の顔は一瞬で鍋底のように真っ黒になった。

直接夏野暖香を引っ張った。

「バカ女、いったいどれだけ飲んだんだ!」

ウェイターはその様子を見て、急いで南条陽凌に礼を言い、手で頭の赤ワインを拭きながら、振り返ることなく一目散に逃げ出した。