朝。
朝日が五つ星ホテルの高級タワーに照らしていた。
大統領スイートの中、巨大なダブルベッドの上で、腰だけをシーツで覆った南条陽凌が寝返りを打った。
引き締まった上半身を露わにし、力強い腕が無意識に隣へと伸びた。
しかし、隣は空っぽだった。
男の美しい顔に、眉間に皺が寄る。
長いまつげがわずかに動き、ゆっくりと目を開けた。
少し茫然と目の前のすべてを見つめ、漆黒の瞳の焦点がゆっくりと戻ってきた。
体を起こし、手で額を支えた。
少し痛みがあり混沌とした頭脳が、少しずつ記憶を探っていく。
突然、何かを思い出したように、男の瞳孔が一瞬収縮した。
昨夜のバーで……
あの少女……
ここまで考えて、南条陽凌の目が輝き、鋭い視線で部屋中を素早く見回した。
結局、隣のソファにある彼の服、携帯電話と財布以外は、何もなかった!
星のように輝いていた瞳が、一瞬にして暗くなった!
まさか……またの夢だったのか?
男の目に失望の色が過り、無意識に立ち上がり、服を着た。
しかし、出ようとしたとき、シーツの下に奇妙なものがあることに気づいた。
前に進み、シーツをめくった。
それはクリスタルのイヤリングだった。
頭の中で稲妻のように、昨夜バーで見かけた少女の姿がよみがえった。
かすかに覚えているが、少女の耳にも、このようなイヤリングをつけていたような気がする!
絶望の目に、一瞬で狂喜の色が浮かんだ。
そのイヤリングを握りしめ、南条陽凌は立ち上がり、急いで階下へ駆け下りた。
しかし、フロントで確認した記録は、再び南条陽凌を失望させた。
「お客様、昨夜のお部屋の記録では、あなたのIDで開けられています。ですので、一緒にいた女性の身元は確認できません……」
しかし、望んだ答えではなかったにもかかわらず、南条陽凌の口角はわずかに上がった。
少なくとも、これは証明している、昨夜……彼女が確かにここにいたことを。
あなたなのか……
何度も夢に現れ、魂の奥底で思い続けてきた少女?
今生で、私たちがまた会えるとは思わなかった!さらに、接点さえあるとは!
そして昨夜……
昨夜、彼と彼女は……
南条陽凌はそれ以上考えることができなかった、考えれば考えるほど、現実味がなかったから!
何かを思い出し、南条陽凌は深く息を吸った。
監視室で。