第442章 離婚に署名してください5

まさか何度も何度も彼女を信じてしまうなんて。

彼女が優しくて可愛くて、純粋で素晴らしい人だと信じていたなんて！

この女は、根っからの詐欺師、泥棒だ！

彼の心を奪っただけでなく、今では彼のお金と財産まで騙し取ろうとしている！

いいだろう、南条陽凌は負けを認める。だがこれ以上馬鹿なことは続けない。お金が欲しいのか？彼には十分ある、やるよ！

夏野暖香は南条陽凌に手を掴まれ、もがいていた。ペンが紙の上に長い線を引いてしまった。

男の強い気配が彼女を包み込み、力で彼女を拘束していた。

「南条陽凌、あなたは最低よ！」

「俺はクソ野郎だ！お前はずっと俺から逃げたかったんだろう？」南条陽凌は怒りに任せて叫んだ。

夏野暖香は腹が立った。

思わず、いっそのこと直接サインしてしまおうと思った。

蒋田雪がどうなろうと、どうでもいい！

たとえこの世界が大混乱になっても、もう知ったことではない。

夏野暖香はペンを握り、歯を食いしばって、紙に自分の名前を書いた。

南条陽凌は彼女がサインするのを見て、黒い瞳に一瞬の動揺が走った。

しかしすぐに、それ以上考えないよう自分を強制した。

夏野暖香はサインを終え、協議書を閉じた。

南条陽凌に渡す。

「これで満足したでしょう！今からあなた南条陽凌と私は、何の関係もありません。」

南条陽凌は全身を震わせ、手の中の協議書を握りしめた。

夏野暖香を深く見つめ、床の散らかった物を踏みながら、大股で立ち去った。

ドアの所まで来ると、彼は突然立ち止まった。

「安心しろ、後で弁護士を呼んで財産分与する。約束したとおり、必ず全額渡す。」

言い終わると、ドアを開け、素早く去っていった。

夏野暖香：……

ソファに座ったまま。

心の中で、どんな感情なのか言い表せなかった。

まさか、こうして離婚することになるなんて？

彼女は手を胸の位置に置いた。

彼女はついに、完全に南条陽凌から解放された。

しかし、彼女は手を伸ばし、自分の手の甲を見た。

彼女の毒はどうするの？

南条陽凌はまさか彼女にすぐに引っ越せと言うつもりではないよね？

夏野暖香は不安に思った。

そのとき、芸子が隅から歩み出てきた。

エプロンを身につけ、まるで雷に打たれたような表情をしていた。

「若...若奥様...本当に帝様と離婚されたのですか？」