第27章 薫織、この道は歩みにくい

林薫織は力なく冷たい扉に寄りかかり、苦しそうに目を閉じた。彼女の予想通り、藤原輝矢は彼女の頼みを聞き入れなかった。

彼女は自嘲気味に笑った。そうだ、自分など何者でもない。藤原輝矢が彼女を助ける理由などあるはずがない。

後がない。今や彼女にはただ一つの方法しか残されていないようだった。

アパートの建物を出て、人気のない場所を見つけると、周りに誰もいないことを確認してからバッグから携帯電話を取り出した。長い間躊躇した末、ついに星野に電話をかけた。星野は社交的で、ナイトカラーで働いていた数年間で多くの権力者と知り合いになっていた。彼女は星野なら助けてくれるだろうと思った。

電話はすぐに繋がり、向こう側から星野の興奮した声が聞こえてきた。「薫織？珍しいね、自分から電話してくるなんて。最近どう？ナイトカラーを辞めた後、500強企業に入ったって聞いたよ。運がいいじゃない。都会のOLの味はどう？」

「星野、私は会社で働いていないわ」林薫織は小さな声で言った。誰がそんなデマを流したのか分からなかった。

「そう？マネージャーから直接聞いたんだけどな。マネージャーも当てにならなくなったみたいだね。じゃあ今はどこで働いてるの？」

「私は...まだ正式な仕事を見つけていないの」林薫織は言葉を切り、苦しそうに口を開いた。「星野、お願いがあるんだけど...最近お金に困っていて、急にお金が必要なの。あなたの周りに女性の伴侶を必要としている友達はいない？...私を助けてくれない？...」

後の言葉は林薫織にはとても言い出せなかったが、星野は彼女の意図を理解した。

星野は重々しく言った。「薫織、友達として忠告するけど、その道に進まない方がいいよ」

指で携帯電話をきつく握りしめながら、彼女は小さな声で言った。「星野、私の家の状況は、あなたも知っているでしょう。もう他に方法がないの」

「よく考えてね、その道は歩みやすくないよ。一度始めたら、もう引き返せない」

「わかってる」

「薫織、一つ聞かなきゃいけないことがある。あなた...処女なの？知ってると思うけど、それで、価格が大きく違ってくるんだ」この世界では、男性には共通の悪い根性がある。自分はどれだけ多くの女性と関係を持っても、女性には自分だけの男であってほしいと願うのだ。