第26章 なぜ私があなたを助けなければならないのか?

林薫織が躊躇しているのを見て、松根は慰めるように言った。「実は輝矢という人は気性は荒いけど、横暴ではあるものの、人間としては悪くないんだよ。自分の状況をきちんと説明すれば、彼も承諾してくれると思うよ」

林薫織は松根の言う「悪くない」がどういう意味なのか分からなかった。彼女が体験した「悪くない」は松根の言うものとはかなり違うようだった。

「ありがとう、松根さん。すぐに藤原さんを探しに行きます」希望は薄かったが、林薫織はとにかく試してみることにした。

幸運なのか不運なのか。偶然にも藤原輝矢は予定がなく、今は家にいた。林薫織は床を拭きながら、どう切り出せばいいか考えていたが、長い間考えても口を開くことができなかった。

「36回目」藤原輝矢はソファに横たわり、怠そうに口を開いた。