第118章 交通事故

二人は「腹いっぱい」になり、レストランを出て、T大学のキャンパス内を散歩して食べたものを消化することにした。

T大学のキャンパス内にはフランスプラタナスが植えられており、秋になるとプラタナスの葉は黄金色に変わり、秋風に乗って一枚一枚地面に舞い落ちる。

清掃員もこの美しい景色に魅了されたのか、地面の落ち葉を掃き集めることをせず、落ち葉はどんどん厚く積もり、キャンパス内のすべての道を覆っていた。

二人は肩を並べ、ゆっくりとキャンパスの大通りを歩き、一面のプラタナスの落ち葉を踏みしめると、柔らかい絨毯を踏んでいるようだった。道の両側には人影はなく、夜も更けて、T大学の学生たちはほとんど寮に戻り、もうここをぶらついている者はいなかった。

林薫織と伊藤逸夫はT大学のキャンパスを一周し、そろそろ帰る時間だと思った。