第371章 じゃあ俺は？俺は何なんだ？

林薫織はついに藤原輝矢の車に乗り込んだ。運転席に座った男は帽子とマスクを外し、彼女の方を見て、意味深な笑みを浮かべた。「女性が男性の車に乗るということは、どういう意味か知っているかい？」

林薫織は彼に答えず、顔を横に向け、無表情で窓の外を見つめた。「藤原さん、私に何か用があるなら、今言ってもらえますか？」

「藤原さん？」藤原輝矢は眉を軽く上げ、エンジンをかけた。メーターの数字が一気に上がったが、瞬時に150キロから80キロに下がった。しばらくして、車内に男の低い声が響いた。「林薫織、いつまで私に隠し続けるつもりだ？」

林薫織の瞳が一瞬固まったが、表情は変えなかった。「藤原さん、あなたが何を言っているのか分かりません」

返ってきたのは男のため息だった。「林薫織、私はもう知っているんだ」

「藤原さん、あなたは何を知っているというのですか？あなたの言っていることが分かりません」

男は急ブレーキをかけ、彼女の方を向いた。「まだ知らないふりをするのか？林薫織、そんなことをして疲れないのか？兄が君を訪ねてきたんだろう？彼は君の父親のことで脅しているんじゃないのか？」

林薫織の心臓がドキッとした。彼女は藤原輝矢がどうやってこのことを知ったのか分からなかったが、今はそれを気にする余裕もなかった。彼女は唇を動かし、静かに言った。「そうです」

「林薫織、こんな大事なことをなぜ私に言わなかったんだ？」

「言ったところで何になるの？あなたがお兄さんから私の父の犯罪資料を取り戻せると思う？」

「できるさ！できるとも！兄が強硬な態度を取っても、どんなに難しくても、何とかして君を助ける方法を考えるよ！薫織、そんなに私を信じられないのか？」

「信じたところで何になるの？あなたの家族が私に対してどんな態度か、もう十分明らかでしょう？あなたの両親は私たちの関係に反対し、お兄さんも反対している。世界中の人が私たちの関係に反対しているのに、この恋愛を続ける意味があるの？」

「家族が反対したって何だというんだ？たとえ世界中の人が反対したって何になる？」藤原輝矢は林薫織の肩をぐっと掴み、彼女の目をじっと見つめた。「林薫織、一言だけ答えてくれ。君は私を愛しているのか、いないのか？」

「愛していません！」林薫織は目をそらし、きっぱりと言い切った。