第535章 突然の口づけ

高橋詩織は非常に憂鬱で、心の中に突然悪意のある考えが浮かんだ。彼女は腕を伸ばして藤原輝矢の首に巻き付け、顎を上げ、唇の端に魅惑的な笑みを浮かべながら、ゆっくりと言った。「藤原さんの言う通り、私は次の相手を探しているわ。でも、探すとしても、あなたのような人は選ばないわ。あなたはあんなに多くの人と寝てきたんだから、梅毒やエイズなんかに感染していないとは限らないでしょう?男を誘惑するために自分の命を危険にさらすつもりはないわ」

男の顔色が青から黒に変わるのを見て、高橋詩織の気分は一気に良くなった。そして腕を引き、くるりと向きを変えて立ち去った。藤原輝矢はその場に呆然と立ち尽くし、怒りに震えていた。

高橋詩織がアパートに戻ったときには、すでに12時を過ぎていた。しかし彼女は慌てて出てきたため、携帯電話を藤原輝矢のアパートに置き忘れてきたことに気づき、がっかりした。