時が飛ぶように過ぎ、あっという間に半月以上が経った。
小さな薫理の病状は一時的に制御され、その小さな子は幼稚園に行きたいとせがんだ。林薫織は彼女を学校に戻すことで、彼女がより幸せになるかもしれないと考えた。
彼女は瀬戸麗の意見を尋ね、瀬戸麗も現在の彼女の体調であれば、予期せぬことが起きない限り、当面大きな問題はないだろうと言った。
この提案に対して、氷川泉も反対しなかった。
この数日間、林薫織は養育権の問題を持ち出さなくなった。今の彼女にとって、子供が誰と一緒にいるかはそれほど重要ではなく、子供が健康であれば、たとえこれからは氷川泉が育てることになっても、彼女は反対しないだろう。
この日、林薫織は薫理を幼稚園に送った後、彼女が友達と一緒に校門に入っていく姿を見て、思わず微笑んだ。
彼女が振り返って立ち去ろうとしたとき、遠くに房原城治の姿を見つけた。
林薫織は一瞬驚き、少し躊躇した後、それでも彼の方へ歩み寄った。
「どうしてここにいるの?」
「わざわざあなたに会いに来たんだ。」今回、房原城治は「たまたま通りかかった」という言葉で彼女をごまかすことはなかった。
それを聞いて、林薫織の心が動いた。慎重に尋ねた。「薫理に適合する骨髄が見つかったの?」
「今のところまだ確定していない。私がメキシコに直接行く必要がある。別れを告げに来たんだ。」
房原城治が彼女に確かな答えを与えなかったにもかかわらず、林薫織は内心の興奮を隠せなかった。
彼女は口を開いたが、何を言えばいいのか分からず、最終的には乾いた声で数言葉を吐き出した。「房原城治、ありがとう。」
彼女があんなに彼に対して冷たかったのに、彼は全力で彼女を助けようとしている。それは彼女をほとんど恥じ入らせたが、厚かましくも彼の助けを受け入れざるを得なかった。
房原城治は彼女を深く見つめ、薄い唇を開いた。「これが最後の手助けだ。これからは、君と私の間には何の関係もない。」
林薫織の指が少し震え、目を伏せて小さな声で言った。「わかった。」
ちょうどそのとき、房原城治の運転手が近づき、敬意を込めて言った。「社長、そろそろ行かなければなりません。」
男は頷き、林薫織から視線を外し、冷たく背を向けて、遠くにあるリンカーンリムジンに向かって歩いた。