第3章 – 約束と逃亡

朝の風が木々の隙間をすり抜け、湿った土の匂いと柔らかい幕のように垂れ下がる薄い霧を運んでいた。しかしダニエルにとって、その朝は決して優しいものではなかった。葉の擦れる音は囁きのように聞こえ、影のひとつひとつが母の最後の叫びを思い出させた。

彼の足は震えながらも歩みを止めなかった。太ももの傷は膿み始め、体は力なく震えていたが、彼は前に進み続けた。止まることはできなかった。今はまだ、村で起こった惨状を見た後だったから。

時折、あの声がまた響いた。

「みんな死ぬだろう。今、お前が会った者たちも…」

その囁きは深い井戸の底から響くようにかすれ、蛇のように滑らかだった。ダニエルは血が滲むまで唇を噛みしめてその声を抑えようとした。しかし、その囁きは外から来るものではなかった。彼の内側から湧き上がってきたのだ。

その朝、ダニエルは丘の縁に辿り着いた。そこからは、炭と灰の姿に変わった故郷ヴァルデンの廃墟が見えた。昨夜燃え盛った家々からはまだ煙が立ち昇っている。家族を育んだ土地は、今や世界の傷跡となっていた。

彼は一握りの土を強く握りしめた。そしてよろよろと丘を降り、焦げていない、あまり見通しのきかない場所を探した。大きな岩や枯れた木の陰で、素手で土を掘り始めた。

長い時間をかけて、浅い穴を三つ掘った。父のために一つ。母のために一つ。そして妹リアのために一つ。

完全な遺体は見つからなかった。彼が見つけたのは、小さな腕と編み込みの腕輪—リアのもの—と焦げた母のドレスの一部だけだった。それでも十分だった。喪失感を癒すには足りなかったが、誓いを立てるには十分だった。

彼はそれらを穴に埋め、それから「墓」の前にじっと座り込んだ。

空は今、曇り空となり、鳥たちは鳴くのをやめていた。

ダニエルは顔を上げた。最初の雨粒が頬を打つ。冷たく鋭く、なぜか世界はお前の生死など気にしないという天の宣言のように感じられた。

彼の手は濡れた土を握りしめる。

「もし世界が生け贄として俺を食らおうとするなら、」彼は低く、はっきりと言った。「俺はそれを引き裂いてやる。」

その声は魂の最も深いところから響いた。単なる復讐ではなかった。決意だった。冷たく、絶対的な。彼の内に燃える炎だった。燃えた故郷の火ではなく。

彼は立ち上がり、浅い墓を背にして北へ歩き出した。

森を越える旅はダニエルにとって新しいことではなかった。しかし今回は、薪を集めたりウサギを狩ったりする農夫の子供ではなかった。今回は、灰の土地の幽霊だった。影に追われ、自分自身に追われる者。

日が変わった。傷は乾き始めたが、体は弱ったままだった。彼は根を食べ、葉に溜まった雨水を飲んだ。二度も疲労で気を失い、一度は森の獣に襲われかけたが、間一髪で目を覚まし、獣の目を見たら逆に獣の方が怯えて逃げた。

ある夜、古いガジュマルの木の下で休んでいると、足音が近づいた。ダニエルはすぐに警戒し、石を手にした。しかし現れたのは山賊でも悪魔でも悪夢でもなかった。

人間だった。

ぼろぼろのローブを纏った老人が、背中に重い幼子を負い、その後ろに三人の者が続いていた。皆、みすぼらしく傷つき、怯えているようだった。

彼らはお互いを見つめ合い、緊張した沈黙が流れた。

「ヴァルデンからか?」老人が尋ねた。

ダニエルは頷いた。

「リオンからだ、俺たちの運命は変わらん。」

リオンはヴァルデンの隣村で、二日の距離にある。もし彼らも襲撃を受けていたら…

ダニエルは背負われた幼子を見た。重症で意識がないらしい。若い女性がそっと涙をこぼしながら水を運んでいる。若者は折れた槍を握り締めている。彼らの顔は鏡のようだった。傷と喪失の共通の痕跡が刻まれていた。

彼らは詳しいことを尋ねなかった。ただ頷き合い、歩みを続けた。ダニエルも付いて行った。理由は分からなかった。孤独に疲れたのかもしれない。人の声がないと、頭の中の影がより騒がしくなるからかもしれない。

その夜、彼らは野営をした。小さな火を焚き、若い女性は幼子に薄い粥を食べさせた。老人は自分をマスター・タルヴェンと名乗り、かつて小さな修道院で教師をしていたと言った。他の者はコールといい、槍を持つ若者。リラは幼子の母親だった。

ダニエルは短く自己紹介しただけで、話さなかった。

だがその夜、皆が眠りにつくと、ダニエルは火を見つめて座っていた。周囲の影がちらつき、動くように見えた。彼らは聞いているようだった。

「お前は場所を探し始めた。しかし場所はいつもお前を受け入れるわけではない。」

あの囁きが再び響いた。しかし今度はダニエルは追い払わなかった。ただ静かに言った。

「もしお前たちがこの力の一部なら…俺の家を破壊した者たちを殺すのを手伝え。それか黙っていろ。」

一瞬の沈黙。

そして風が吹き、火が一瞬大きく燃え上がった。まるで答えるように。

ダニエルは目を閉じた。運命は信じていなかったが、意志は信じていた。そして何度目かの夜明けが訪れ、彼は知っていた—彼の昔の命は石の下に埋もれたことを。

蘇ったのは…新しい何かだった。