その夜、闇は森だけでなく、ダニエルの心の奥深くにも忍び込んだ。難民キャンプの焚き火はパチパチと音を立て、木々に揺らめく影を映し出していた。しかし、最も暗い影は彼自身の内側からやってきた。
ダニエルはテントの隅に座り込み、昨日の朝に謎の老人と交わした会話のせいで手がまだ震えていた。「種」や「ネレクシ」という言葉が、拒めない囁きのように頭の中をぐるぐると回っていた。しかし今夜、その恐怖はより現実的なものへと変わっていった。
テントの外では、雨が細かく降り始める中、軽く規則正しい足音が忍び寄ってきた。ダニエルは知っていた――それは難民でも援助兵でもない。彼を追う影の足音だった。
彼はそっと隅へと身を寄せ、戦の太鼓のように鳴る心臓の鼓動を抑えようとした。やがて、黒いマントをまとい顔を覆った姿が現れ、焚き火の薄明かりの中で冷たい目が光った。
「ついに、見つけたぞ」と、その声は柔らかくも威嚇に満ちていた。
ダニエルはわかった――彼らはずっと仲間に紛れて潜んでいた工作員だったのだ。
考える暇もなく、ダニエルは立ち上がり手を掲げた。無意識のうちに手のひらに濃い黒いエネルギーが渦巻き、小さな嵐のように回転し始めた。まだ完全に扱いきれてはいなかったが、戦う本能が目覚めていた。
工作員は嘲笑しながら素早く攻撃を仕掛け、火の光にきらめく暗い結晶の刃を抜いた。ダニエルは身軽にかわしたが、体はまだ古傷の痛みで弱っていた。
緊迫した短い戦いの中、ダニエルの黒いエネルギーは空中に爆発し、敵の攻撃を一部吸収して押し戻した。その隙に彼は逆襲し、暗い力の手で工作員の肩に触れた。
工作員の体は内側から引き裂かれるかのように震え始めた。肌は灰色で粘液質に変わり、腐敗した臭いが辺りに立ち込める。やがて彼は荒い息を吐きながら崩れ落ち、その目は憎悪に満ちてダニエルを見つめた。
「種は一つ落ちた…だが、これは…咲いた。ネレクシが知るだろう。」
ダニエルは恐怖と怒りの間で顔を凍らせた。
工作員はもう一度咳をし、それから息を引き取り、体は黒い灰となって夜風に吹き飛ばされた。
ダニエルは座り込み、深く息を吐いた。体はまだ震えていたが、内側で何かが変わっていた。彼はもはや生き延びようとするだけの村の少年ではなかった。
その夜、暗い空と止みかけた雨の下で、ダニエルは自分の人生を覆う闇からもう逃げられないことを悟った。
彼は答えを探さなければならなかった。自分が本当は誰なのか。血の中に流れる力とは何か。そして、すべての悪夢の源であるネレクシ――呪われた土地について。
新たな決意を胸に、ダニエルは夜明けにキャンプを後にした。危険と秘密に満ちた道が彼の前に広がっていたが、初めて目的を持った気がした。
旅はまだ終わらない――彼の人生の暗い章が今まさに始まったばかりだった。影の向こうで燃える炎は、真実を見つけ出し、世界の餌食になることを拒むという誓いでダニエルの心を燃やしていた。