夜の闇が古代の廃墟を深く冷たく覆い、骨まで染みる寒さが漂っていた。枯れた折れた木々の影の下、ダニエルは新たに受け入れられた反乱組織「クリムゾンフォージ」の隊列に立っていた。彼らはゆっくりと影のように忍び寄り、はっきりとした目的を持って夜を切り裂いた。頻繁に周辺の小さな村を脅かすヴァルガンのパトロールを迎え撃つためだ。
ダニエルは静かに不安を押し込めていた。彼の血脈で鼓動する「ミスティック・デヴァウラー」の力はまだ完全には制御できていなかった。力は彼に力を与えたが、同時に恐怖も抱かせた。毎秒、エセリオンの微かな囁きが彼の頭を満たし、音なき呼び声のように、理解しきれない断片的な記憶を差し込んでくる。彼は好奇心と警戒心が入り混じる心を振り払えなかった。
「ダニエル、後ろにいて。見つかってはいけない。」今夜の指揮を任されたクリムゾンフォージのベテラン、リオラの声は静かだが厳しかった。これが遊びではないことをダニエルに思い知らせた。彼らは命をかけていた。
ダニエルは小さく頷き、心を強くした。闇の中で、彼の内に奇妙な振動が走るのを感じた――まるで彼の力が飛び出して暴れだそうとしているかのようだった。彼は目を瞬かせ、息を潜めた。
遠くにヴァルガンのパトロールが現れた。完全武装の5人が村へ向かう細い道をゆったりと進んでいた。警戒心もなく、影に潜む危険に気づいていないようだった。
ダニエルは緊張し、その脅威の姿をじっと見つめた。彼の目は細まり、気づかぬうちに周囲から闇のエネルギーを少しずつ吸い込み始めていた――根のように地中を這う影の渦を作り出しながら。
素早く力を向け、待ち伏せエリアに近づきすぎた兵士の一人を狙った。兵士の体は闇の渦に吸い込まれ、生きているかのような闇に飲み込まれていった。体は弱り、顔は青ざめ、他の者が気づく前に、硬直したまま倒れ込んだ。
その出来事をきっかけにクリムゾンフォージは迅速に動き、攻撃を開始した。後方にいたダニエルも短剣と槍で斬りかかった。しかし彼はデヴァウラーの力を隠し続けた。もし明かされれば、仲間にさえ脅威と見なされることを知っていた。
戦闘は短く激烈に終わった。闇の中で、彼らはパトロール全員を倒したが、クリムゾンフォージの掟通り、殺害は避けて敵のさらなる注意を引くことを防いだ。
終わるとリオラが顔をしかめてダニエルに近づいた。
「あなたは変わっているわ、ダニエル。何か違うものを持っている。」彼女の声は疑念に満ちていた。「何かはわからないけど、動きが速すぎて完璧すぎる。まるで私たちが理解できない何かを抱えているみたい。」
ダニエルは唾を飲み込み、胸の鼓動が早まった。彼はいつかこの質問が来ることを知っていた。「ただ…生き延びたいだけです。」と短く答え、隠そうとした。
だがエセリオンの囁きは頭の中でますます強くなり、かすかな言葉を紡いだ。「堕落したエセリオン…潜む危険…ミスティッククラス…ネレクシの遺産…」それは悪夢のようで、次第に現実へと結びついていった。
その夜、小さな焚き火のそばで、ダニエルは一人で燃え盛る炎を見つめていた。他のクリムゾンフォージの仲間は計画と暗い未来を語り合っていたが、彼の目は土の窪みに溜まった水面の揺らめく影を見続けた。そこに映る顔は、同じだが違った。普段の目ではなく、深い黒と赤が混じった光を放っていた。彼の内には大きな何かが宿っていると感じ、それは制御できないかもしれなかった。
「幸運の異端者(ラッキーアノマリー)」というあだ名が彼らの間で囁かれ始めた。ダニエルは尊敬されつつも疑われる存在となった。信頼は脆い武器であり、彼は誰にも完全に自分を預ける準備ができていなかった。
翌日、訓練が再開された。ダニエルは戦術を学び、武器を使い、チームと協力することを強いられた。しかし彼の内で囁きは止まらなかった。エセリオンの力は単なる力以上のものをもたらしていた。知識と警告も。
ある午後、訓練後にダニエルは最も指導してくれた師匠ジャレクと座った。
「頭の中で何を聞いている?」とジャレクは遠慮なく尋ねた。
ダニエルは深く見つめ返した。「囁き、断片…自分より大きな、危険な何かがある気がする。」
ジャレクは静かに頷いた。「それはエセリオンだ、ダニエル。君の中にある古のエネルギーだ。しかし気をつけろ。堕落したものもいて、選ばれし者を毒している。」
ダニエルは息を吐き、この旅は外の敵から生き延びるだけではなく、内なる闇とも戦うことだと悟った。
日々が過ぎ、ダニエルは戦闘技術と集団戦術をますます習得した。だが緊張は消えず、他の数人は彼の異変に気づき始めていた。時折、疑うような視線が隅から送られた。
だが不確かな中で、ダニエルは決意した。彼は強くなる――自分のためだけでなく、すべてを失った者たちのために。
この闇の世界で生き残るのは強者だけだ。そして、幸運の異端者ダニエルはまだ全力を見せてはいなかった。
その夜、森の静寂の中でエセリオンの囁きが再び心に響いた。
「怖がるな、ダニエル…これは始まりに過ぎない…」