ダニエルはヴァルモラの忘れ去られた片隅にあるギシギシと軋む鉄の階段を静かに降りていった。冷たく湿った地下深くへと続くその道は、湿った土の匂いとキノコのかび臭さが漂い、ところどころに灯されたろうそくの煙の香りが混ざり合っていた。ここは、闇に隠された層の奥底に潜む、まだ表面には炎を灯していないが、強く脈打つ抵抗の秘密の場所だった。
暴君が支配する街の地下にいるダニエルは一つだけ確かなことを知っていた――自分一人で戦うことはできない。
彼は数日間にわたり潜入を続け、監視の目を光らせるアシェン・タングのスパイをかいくぐっていた。しかし最も重要な任務は、変化を信じる者――ヴァルモラの未来のためにすべてを賭ける覚悟のある者たちを見つけることだった。
狭い廊下に灯された数個の提灯の明かりの下、女性が立って彼を待っていた。疲労の色が顔に浮かんでいるものの、その目は決して消えない決意を示していた。銀色に輝く長い髪が黒いローブと対比的に揺れている。
「ダニエル」と彼女は優しくも力強い声で迎えた。「私はライサラ。」
ダニエルは静かに頷いた。元外交官のライサラが自分の噂を耳にしていたことに少し驚いた。
「かつて私はアドリアス王のために働き、平和の橋を架けようとした」とライサラは後悔を込めて話し始めた。「だがすぐに気づいたの。王冠と玉座の裏には、想像以上に深く根付いた腐敗が隠されていると。」
彼女は長く息を吐き、背後の暗い廊下を見つめた。
「王の権力は彼だけのものじゃない。ヴァルガンとネレクシが影からこの街を操っている。外交や妥協の試みは、彼らの支配を強化するための道具に過ぎなかった。」
ダニエルは注意深く話を聞き、希望と警戒が入り混じった感覚を覚えた。
「なぜ私たちを信じるの?」と彼は尋ねた。
ライサラは微かな笑みを浮かべた。「私もまた『クリムゾン・フォージ』の噂、君たちの果てしない闘いを聞いたから。君はただの反逆者じゃない、ダニエル。力とビジョンを持つ者。君が探しているものを見つける手助けができるわ。」
彼女は手を動かし、石の山の背後に隠された秘密の扉を開いた。その先は広い地下室で、疲れた顔つきだが熱意を持った小さな集団が集まっていた。
彼らは「ヴェイルボーン」と呼ばれる者たちだった。
人間だけでなくヴァルモラや周囲の世界に存在するすべての種族の間の調和を守るために尽くす地下組織。彼らはこの長引く紛争の根源はエテリオンの不調和にあると信じていた――宇宙に流れる魔法と生命エネルギーの源泉だ。
「私たちの目的は」と、鋭い目つきを持つ薄いあごひげの男ケイレンが名乗った。「この調和を保ち、全てを破壊する破滅を防ぐこと。でも私たちは分裂し、今は平和を望む全ての者をまとめる新たな力が必要だ。」
ダニエルは頷いた。事態は思っていたより大きかった。アドリアス王を倒すだけでなく、相反する力の繊細な糸を守ることでもあった。
ライサラは続けた。「一つ鍵になるかもしれないものがある――『バランスの聖秩序』。」
そこにいた全員がその名に息を呑んだ。
「バランスの聖秩序は古のオーダーで」とライサラは説明した。「かつて人間と異種族の間のエテリオンの調和を守っていた。彼らは、争いと貪欲によって乱れたエテリオンのエネルギーを整える術を知っていた。伝説では、世界をほぼ破壊した大戦の後に姿を消したという。」
ダニエルはその話を聞いて心の中で何かが震えるのを感じた。かすかだが確かな希望の光だった。
「もしそのオーダーを見つけたり、復活させられれば、この混乱を終わらせることができるかもしれない」とダニエルは静かに言った。
しかし、希望と共に大きな危険も伴う。
「どうして彼らがまだ存在すると確信できる?見つけられるのか?」と真剣に聞いたのはエラーラだった。
ライサラは首を振った。「確証はない。でもヴァルモラの地下図書館や街の隠れた場所に手がかりがある。完全な秘密ではないが、消え去ってもいない。」
ケイレンは付け加えた。「オーダーの跡を追うということは、最も凶暴な敵を含む多くの者の目を開かせることでもある。」
ダニエルはこの旅が裏切りと争いに満ちた危険なものになると悟った。仲間を探すことは力を増やすことだけでなく、裏切りや圧力、喪失にも立ち向かう覚悟が必要だ。
「始めよう」とついに声を絞り出すように言ったダニエル。「オーダーの真実を探し、ヴァルモラの未来のために戦う者たちを結集しよう。」
冷たい地下室の中で、ダニエルは自分の中のエテリオンとは異なる振動を感じた。それは周囲の空気から来るもののようだった。まるで隠されていた力が目覚めを待っているかのように。
しかし地上では、暗い影がじっと見張っている。彼らの一歩一歩が無慈悲なアシェン・タングのスパイに密かに監視されているのだ。裏切りはどこからでもやって来るかもしれない。
ダニエルは前を鋭く見据えた。この仲間探しは単なる力の問題ではなく、信頼の問題だと気づいていた――欺瞞と裏切りに満ちた世界で希少なもの。
「気をつけなければ」と囁いた。「でも、俺は退かない。ヴァルモラは変わらなければならない、そして俺はその変化の一部でなければならないんだ。」