第18章 別れて人柄が分かる

夏目初美は笑って言った。「ちょうど少し歩いて、消化させようと思っていたところよ」

しかし、キッチンまで行く前に、空の器の音を聞いた永谷姉さんが出てきて取り上げてしまった。「奥様、どうぞ座ってお休みください。まだ病気が治っていないのですから、お疲れにならないように」

自嘲せざるを得なかった。「なんだか私、役立たずになったみたい。こんなに大事にされなくても」

工藤希耀は彼女をソファに座らせてから、真剣な表情で言った。「役立たずじゃなくて、患者さんだよ。だからどんなに大事にされても当然だ。でも、さっきより顔色も元気も良くなっているね。今夜もう一晩休めば、明日は完全に治るんじゃないかな」

夏目初美は笑いながら頷いた。「私も元気が出てきた気がするわ。きっと、完全に新しく始めると決めたから、生まれ変わったのかしら?」

工藤希耀の目の中の笑みはさらに深くなった。「生まれ変われるなら、それはいいことだ。良くないことは全部、ウイルスと一緒に消えてしまえばいい」

話している最中に、部屋の中で夏目初美の電話が鳴った。

彼女が部屋に入って電話を取ると、さっき電源を入れた時に着信があった見知らぬ番号からだった。おそらく水野雄太は彼女が明石広一と立山政彦に電話をかけたことを知ったのだろう。

夏目初美は口元をゆがめて、応答ボタンを押した。「もしもし?」

向こうからすぐに水野雄太の喜びに満ちた声が聞こえた。「希実?やっと電話に出てくれたんだね!希実、どこにいるの?住所を教えてくれたら、会いに行くよ。話したいことがたくさんあるんだ……」

夏目初美は冷たく彼の言葉を遮った。「水野雄太、2時まであと1時間よ。契約書にサインした?したなら私はすぐに法律事務所に取りに行くわ。してないなら、私が株を他の人に売っても文句は言えないわよ」

水野雄太の息づかいが受話器越しに聞こえ、明らかに荒くなっていた。「希実、そんなに冷たくしなくちゃいけないの?今どこに住んでいるか教えたくないなら構わない。どこかで会おう。殴ってもいいし、罵ってもいい、土下座して謝ってもいい。だからそんなに冷たくしないでくれないか?」

夏目初美の声はさらに冷たくなった。「もうごちゃごちゃ言うなら、切るわよ。そのまま株を他の人に売るから」