第30章 いわゆる親戚

双葉淑華は夏目初美を見るなり、笑顔で小走りに近づいてきた。「希実、道中あなたがいつ到着するか心配していたのよ。まさかこんなにタイミングよく一緒に着くなんて。昨夜は大丈夫だった?私は一晩中よく眠れなくて、あなたも眠れないんじゃないかと心配で」

そして小声で説明した。「おばあさんが生涯で六つ星ホテルに来たことがないって言うし、傑も美味しいものが食べたいとうるさくて、連れてくるしかなかったの」

夏目初美は夏目本俊親子三代を見る気もなく、「うん」と一言だけ言って、「入ろう」

そして先にホテルの回転ドアに入った。

夏目おばあは腹立たしく、夏目本俊に不機嫌に言った。「見たでしょう?昨日はあなたのことをお父さんと呼ばず、私のことをおばあさんと呼ばなかっただけ。今日はもっとひどい、私たちを見ようともせず、完全に空気扱いよ」

「これがあなたが彼女を叩かなかった結果よ。彼女がますます傲慢になって、今度はあなたの頭に乗って排泄するのを待ってなさい!」

夏目本俊も表情は良くなく、歯を食いしばって小声で言った。「お母さん、もう少し静かにしてくれませんか、ここがどこか考えてください。それに簡単に言うけど、今は彼女が若くて稼げるから、彼女を殺さない限り、彼女の機嫌を伺うしかないんです。お金と仲違いしたくないんですよ」

「彼女を刑務所に送りたくもない、私はまだ良い生活を十分に楽しんでいないし、彼女はそれをやりかねない。入るのか入らないのか、入らないなら車を呼ぶから、傑を連れて帰りなさい!」

夏目本俊はかなり自覚があった。幼い頃から彼は夏目初美に優しくしたことがなく、今どこに父娘の情があるというのか?

夏目初美が毎月くれる三万円も彼ではなく、双葉淑華に渡されるもので、双葉淑華の生活を楽にするために与えられているのだ。

彼は双葉淑華に対してだけ威張れるだけで、夏目初美の前では、彼女が強気になれば、父親面をする資格など全くなかった。

夏目おばあはようやく不満げに黙り、夏目傑の手を引いて、夏目本俊の後ろについて回転ドアに入った。

この時、夏目初美と双葉淑華はすでに自分たちの小さな宴会場を見つけていた。

主催者である双葉叔父さんこと双葉学明と林田愛子が正装して、他の親戚もほぼ揃っていた。

双葉淑華と夏目初美はまず笑顔で主催者に挨拶した。「お兄さん、お姉さん」