第29章 持参金を出せないなら、結納金も望むな

夏目初美は双葉淑華が彼女を追いかけてきたのは、本心からだと信じていた。結局のところ、彼女は娘を愛していたのだから。

しかし、双葉淑華が完全に本心から行動し、彼女を引き留めようとしたり、彼女と夏目本俊、夏目おばあとの関係を和らげようとする意図がなかったとは、他の人が信じようと信じまいと、夏目初美は信じなかった。

彼女は淡く微笑んだ。「以前は年に一度も松鼠魚や荔枝海老団子を食べられなかったから、好きだったの。自分でお金を稼げるようになって、いつでも食べたいときに食べられるようになったら、もう好きじゃなくなった」

少し間を置いて、「今夜家に泊まるって言うけど、どこに?自分の部屋すらなくなった人間に、あそこがまだ私の家だと本当に思ってるの?」

双葉淑華は黙り込み、目の縁が徐々に赤くなった。

しばらくして、彼女は詰まった声で言った。「希実、あなたが私を恨んでいるのはわかるわ。でも私にどうしろというの?あなたのお父さんとおばあさんはああいう人たちで、何年経っても変わらないわ。傑も確かに大きくなって、独立した部屋が必要だったし、ちょうどあなたが大学に行っていた数年間だったから、部屋をずっと空けておくわけにもいかなかったでしょう。それに正月にあなたが帰ってきたときは、いつも傑に部屋を空けさせたじゃない...ママも本当に仕方なかったの、ママを責めないで...」

夏目初美は言葉を失った。

彼女が心を痛めているのは部屋のことだけなのか?

氷が三尺凍るのは一日にしてならず、この数年間で彼女が心を痛めたことはもう数え切れないほどだった!

彼女は唇を引き締めて言った。「あなたに方法がないなら、離婚すればいい。あなたには退職金があるし、私もいる。離婚したからといって生きていけなくなるわけじゃない。むしろもっと良く生きられるはずよ。なぜどうしても離婚しようとせず、夏目という曲がった首の木にぶら下がり続けるの?あなたが離婚に同意さえすれば、すぐにあなたを連れ出すわ。その後のことも一切心配させないから!」