村田紀子も一緒に説得した。「そうよ、希実。昔から『愚か者には愚か者の幸せがある』って言うでしょう。特に私たち女性にはそれが当てはまるわ。とにかく私の知っている鈍感な女性たちは、賢い女性よりも幸せに暮らしているわ。何もかも鈍感になれとは言わないけど、賢くなるべき時は賢く、鈍感になるべき時は鈍感に。この言葉さえ覚えておけば、これからいい日々が待っているわよ」
夏目初美はこめかみがズキズキし、すでに極限まで我慢の限界だった。
彼女は横にいる、彼女が見るとすぐに取り入るように笑いかける双葉淑華を一瞥した。
そして冷たく言った。「母はずっと忍者ガメのように何でも我慢してきたけど、それはそれでいいわ。でも、どうして叔母さんたちもそんなに我慢強いの?もしかして叔父さんたちも父と同じように何年も浮気していて、あなたたちはもう慣れているから、どうでもいいと思っているの?」
双葉淑美と村田紀子の顔色が悪くなった。「この子は何を言い出すの。あなたの叔父さんはそんな人じゃないわよ」
「そうよ、あなたの叔父さんもそんな人じゃない。それに私たちはあなたのためを思って言ってるのに、なぜ私たちを引き合いに出すの?今はあなたの問題を話しているのよ」
夏目初美は冷笑し続けた。「じゃあ、従姉の夫がそういう人なの?それとも叔母さんたちは将来、蘭姉さんや涵子がこういう目に遭っても構わないと思っているから、そんなにあっさりと私を説得できるの?」
双葉淑美の顔色はさらに悪くなった。「夏目初美、あなた何が言いたいの?私たちはあなたのためを思って忠告してるのに、あなたは従姉妹たちに呪いをかけるなんて。まさに犬に餌をやっても感謝されず、逆に噛まれるようなものね!」
村田紀子も怒った。「今はあなたの問題を話しているのに、あなたはこんな目に遭ったからって、従姉妹たちにも同じ目に遭ってほしいの?こんな人いないわよ。二妹、言いたくないけど、あなたはいつも男性の周りをうろうろして、娘をちゃんと躾けなさいよ」
双葉淑華はすぐに習慣的に謝った。「お姉さん、私はちゃんと…」