第35章 人の幸せを妬み、人の不幸を喜ぶ

夏目初美は目の前のいわゆる「あなたのためを思って」という姉妹や親族たちに極限まで腹を立て、逆に冷静になった。

冷静になると、心が冷えるだけでなく、滑稽にも思えた。

これが彼女の親族たち、本当に誰一人として彼女を失望させなかった!

そうだ、彼女は彼らと初めて会ったわけではない。彼らがどんな人間かを彼女が知らないはずがない?

ただここ数年、彼女が「出世した」こと、水野雄太と結婚して水野家の嫁になるという事実が、それを美化し粉飾していただけだ。

今、彼女と水野雄太は別れた。実際はずっと存在していたが、一時的に華やかな表面の下に隠されていた問題や醜さが隠れ場所を失い、すべて太陽の下にさらされた。

しかし夏目初美がその場を離れる前に、久山葵が林田愛子を連れてきた。「希実、ここにいたのね。あなたを探していたのよ。さあ、叔母さんとちょっと別の場所に行きましょう。法律のことで少し相談したいことがあるの」

林田愛子はそう言うと、警告するような目で座っている全員を一瞥した。

双葉淑華に視線が向けられたとき、特に厳しく、双葉淑華は首をすくめた。

そして夏目初美を引っ張って、中の臨時休憩室に入った。「希実、顔色があまり良くないわね。疲れたの?少し休みたい?」

夏目初美は首を振った。「大丈夫です、ありがとう叔母さん。むしろ叔母さんこそ、朝早くから今まで忙しくしていたんだから、本当に休息が必要なのでは?横になりませんか?私がドアを見ていますから」

林田愛子は彼女に温かい飲み物を渡した。「私も大丈夫よ。私たちどちらも休む必要がないなら、少し話しましょう。希実、彼女たちの言うことを気にしないで。彼女たちはそういう人たちなの。『人の不幸を喜び、幸せを妬む』というのは言い過ぎかもしれないけど、実際そんなものよ」

「以前は彼女たちは羨望と嫉妬だったけど、あなたが別れたと知ると、今度は他人の不幸を喜ぶようになった。しかも私たちの大家族は和歌山市ではたいしたことないし、あなたの叔父さんでさえ、本当のお金持ちや権力者から見れば、大したことないのよ」