第60章 あなたの旦那様はあなたをとても愛しています

工藤希耀は微笑んで言った。「でも試してみて損はないでしょう?もし効果があれば、それは予想外の喜びになるし、効果がなくても今と同じままというだけのことです。」

大江瑞穂は傍観者として冷静に、おそらくすでに何かを見抜いていることを知っていた。

さらに笑いながら付け加えた。「大江さん、ご安心ください。私は誰にも、妹も含めて、初美に少しでも傷つけることは絶対にさせません。」

夏目初美も急いで言った。「そうよ、瑞穂。試してみて損はないわ。工藤さんは甘やかされているだけで、本当に悪いことをしろと言われても、彼女はできないと思うわ。」

「もしかしたら、私と希耀が結婚指輪をつけて、ますます仲良くしているのを見て、彼女は急に気づくかもしれないわ。人は時々、一瞬で物事を理解することもあるでしょう?」

大江瑞穂は工藤希耀の人柄を、少なくとも今のところは信頼していた。

夏目初美自身もそう言うので、彼女はもう何も言えなかった。「わかったわ、あなたたち二人が試してみて損はないと思うなら、買いに行けばいいわ。法律事務所のことは心配しなくていいわ、私が見ているから。私はあなたの一番の味方よ、いつでもあなたの強い後ろ盾になるわ!」

しかし最後に、彼女は工藤希耀をじっと見つめた。

工藤希耀は目をそらさず、むしろ大江瑞穂に軽く頷いた。

それから夏目初美を車に乗せ、すぐに走り去った。

大江瑞穂にはもう何もわからないことはなかった。夏目初美は確かに誰かに策略にはめられたようだ。

しかし今のところ、悪いことではなさそうだから、彼女はとりあえず見て見ぬふりをすることにした……

工藤希耀は夏目初美を連れて、まず小さな隠れ家的なレストランで食事をし、それから直接ショッピングモールへ向かい、指輪を選び始めた。

夏目初美の考えでは、適当に見栄えのする一組を選べばそれでよかった。

どうせ二人とも偽物だと知っているのだから、工藤美咲をだますためだけのものだった。

しかし工藤希耀は大きくて限定品のものにこだわり、できれば世界に一つしかないものがいいと主張した。「一番いい商品を全部出してください。もし既製品がなければ、写真を見せてもらって、選んだら特注でもいいです。」