第74章 彼の心の中で、彼女は重要なのか

夏目初美は気もそぞろで、つまずきながらも、なんとか白粥を煮上げた。

北条先生も工藤希耀の傷の手当てをし直し、点滴も繋いだ。

そして夏目初美と遠山陽介に言った。「お嫂さん、陽介さん、私には今日の午前中に手術をした患者が二人いるので、心配で見に行かなければなりません。耀兄さんのことはしばらくお二人にお任せします。点滴が終わったら、この針を抜いてあげてください。何かあれば、すぐに電話をください。すぐに駆けつけますが、よろしいでしょうか?」

遠山陽介はまず眉をひそめた。「病院はあなたがいなくても回るだろう。夜が明けて、耀兄さんが目を覚ましてからでも遅くないんじゃないか。」

夏目初美ももちろん北条先生に残ってほしかった。

彼女にとっては、工藤希耀の安全が北条先生の患者たちよりも重要だった。

しかし、北条先生の患者の家族も同じように考えているだろうと思い、彼女は頷いた。「では北条先生、お忙しいところ申し訳ありませんが、私たちは希耀のことをしっかり見ていますので、ただ、お電話はいつでも出られるようにしておいてください。」

北条先生は急いで言った。「もちろん、いつでも出ます。では、先に行きますね。夜中に耀兄さんが熱を出したら、物理的に冷やしてください。それでも下がらなければ、解熱剤を飲ませてください。」

夏目初美はすべて了承し、北条先生に工藤希耀の針の抜き方をもう一度教えてもらった。

また、北条先生が残した薬についても一つ一つ詳しく確認してから、彼を玄関まで見送った。

夏目初美が再び工藤希耀の部屋に戻ると、遠山陽介がまだ元の場所に立ったまま、まるで彫像のように動かずにいるのを見た。

彼女は思わずため息をついた。「陽介、何が起きたのか詳しくは知らないけど、あなたのせいじゃないことはわかるわ。あなたは最初から最後まで現場にいなかったんでしょう?だから、もう自分を責めないで。今は希耀のことを看病するのが一番大事よ。」

少し間を置いて、「私はお粥を作って、おかずも二品作ったから、食べてきて。食べ終わったら、あなたが希耀を前半の夜見ていて、私はこれからの数日の仕事の段取りをつけてから、後半の夜を見るから、あなたは休めるわ。どう?」