法律事務所は結局のところ他の店とは違う。遠くの話はさておき、開業すれば何かしらのイベントや特典で一時的に賑わうものだ。
誰が何もなければ法律事務所に入るだろうか?
しかし、入口に並ぶ花かごと、数メートルの高さの真っ赤な風船アーチ、両側から垂れ下がる「初瑶法律事務所の盛大なる開業を熱烈にお祝い申し上げます」という赤地に黄色い文字の横断幕、そして床の赤いカーペット。
これらが夏目初美と大江瑞穂の新しい法律事務所に、開業の賑わいとお祝いムードを作り出していた。
大江瑞穂は思わず感慨深げに言った。「1ヶ月も経たないうちに、ここはまだ空っぽで寂しかったのに。私はまだ毎日死ぬほど残業して、バカ上司に我慢に我慢を重ねていたのに」
「こんなに短い時間で、私たちの法律事務所がゼロから順調に開業できるなんて思わなかった」
「私もようやく仕事も生活も、希望に満ちた感覚を持てるようになって、本当に体中に力がみなぎる感じ。初美、どうお礼を言えばいいか分からないわ。安心して、私は必ずあなたをサポートして、私たちの事務所がすぐに足場を固め、そして発展できるようにするわ!」
夏目初美も少し感慨深げだった。「そうね、ここまでの道のりは、これから直面する困難や挑戦に比べれば大したことないかもしれないけど、この数日間は十分に疲れたし、大変だったわ」
「でも目の前にあるこのゼロから生まれたすべてを見ると、どんなに疲れても価値があると思う。瑞穂、サポートなんて言わないで、この事務所は私たち二人のものよ。私がいなければダメだし、あなたがいなくてもダメ。だから一緒に頑張って、ここに根を張らせ、芽を出させ、たくましく成長させましょう!」
二人の親友は言い終わると、顔を見合わせて微笑み、後の言葉は言う必要もなかった。
ちょうどその時、受付の小池が笑顔で小走りに近づいてきた。「夏目弁護士、大江弁護士、外から花かごが届いています。たくさんの花かご、本当にたくさんです!見に行きませんか?」
夏目初美と大江瑞穂は少し驚いた。
二人は神戸市にそれほど多くの親戚や友人がいるわけではないが、開業を祝って花かごを送ってくる人は何人かいるはずだった。
彼女たち自身が注文した20個の花かごと合わせれば、見栄えは十分だったはずだ。