今度は夏目初美が火がついたように慌てた。「あ、あなた……私はあなたの怪我を見るためだったのに、何を考えているの?もう変なことを言わないで、どうしてそんな、そんなことが言えるの……」
言葉が終わらないうちに、ようやく目の前の人がほとんど裸同然であることに気づいた。
しかも完璧な腹筋のラインだけでなく、はっきりと浮き出た腹筋や胸筋、さらには下腹部のVラインまで、ほとんど全てが見えそうだった。
彼女の顔はさらに赤くなり、声もさらに詰まった。「わ、私はあなたが何を言って、いるのか分からないわ。喉が渇いたから、外に水を飲みに行くわ。水を飲んだら、フロントにもう一枚毛布を持ってきてもらうように……いや、クローゼットにきっと予備があるはず」
「だ、だからあなたはここで寝て、私はあなたの部屋で寝るわ、おやすみ……」
言葉につまりながら言い終わる前に、彼女はベッドから降りようとした。もちろん目指すのは数メートル先のドアだった。
しかし、ベッドから降りる前に、工藤希耀が前に飛びかかり、彼女を押さえつけた。「初美、なぜ逃げるの?一緒に寝て、足のマッサージをしてあげるって約束したじゃないか?もう足は痛くないの?」
夏目初美は女性が危険に直面した時の本能で鳥肌が立ちそうになった。「わ、私の足はもう痛くないわ、マッサージは必要ないの。それに本当に人と一緒に寝るのに慣れていないから……ねえ、希耀、まず起きてくれない?私、あなたに押さえつけられて息ができないわ……」
工藤希耀の下には柔らかく温かい感触があり、目に入るのは艶やかな唇と目尻だった。
彼の呼吸は荒くなった。「初美、言ったでしょう、二人で寝ることに慣れなきゃいけないって、今夜から始めようよ。安心して、同意なしで何もしないから。でも今、キスしてもいい?我慢できないんだ、いいかな?」
夏目初美は彼が我慢のあまり額の血管が浮き出て、額から細かい汗が滲み出ているのを見た。
彼の体がどれほど熱く、彼の…体の反応がどれほど直接的であるか、この瞬間、彼女ほど明確に分かる人はいなかった。
しかし、そんな状態でも彼は彼女に何もせず、むしろ必死に我慢して彼女の意見を求めていた。