第120章 誰も永遠にその場で待ち続けることはない

夏目初美は工藤希耀の話を聞き終わると、もう冷笑を抑えられなかった。「そんなに口では甘いことを言いながら腹の中では刃を隠すなんて、まさにあの言葉通りね。背中から刃を突き刺すのは、いつも所謂親しい人や親族だわ!それにこれだけ長い間、彼らの野心はあなたたち三人が知っているなら、他の人たちも同様に気づいているはずよ」

「どうして美咲だけは少しも感じ取れず、今でも彼らの悪意に気づかないで、まだ騙されているの?」

工藤希耀は眉をひそめた。「全て父と私の不注意だ。どんなことがあっても、俺たちが一生彼女を守ると思って、彼女を甘やかしすぎた。純粋すぎるほど育ててしまった」

太田一鳴は急いで言った。「耀兄さんがどうして責められるんですか、女の子は本来甘やかされるべきです。それに美咲は小さい頃から母親がいなくて、工藤叔父さんも忙しかった。誰が彼女に優しくしないでいられますか?それに叔母さんは水の滴るような手間をかけて、一日二日ではなく、何年もの間彼女を手のひらに乗せるように大事にしてきたんです」

「寒くなれば服を着るよう促し、暑くなれば緑豆スープを作り、病気になれば一晩中付き添って...美咲だけでなく、私だって後で彼らの企みを知らなければ、感動せずにはいられなかったでしょう。だから耀兄さんを責めることもできないし、美咲を責めることもできない。全て彼らの家族があまりにも狡猾で陰険すぎるからです!」

遠山陽介は頷いた。「確かに、彼らはこれほど長い時間をかけて大物を釣るために長い糸を垂らしてきた。防ぎようがない。それなら耀兄さんの言う通り、年が明けたら阿部潤をアフリカに派遣して、彼がどう言い、どう行動するか見てみよう」

工藤希耀は「うん」と答えた。「この期間に彼の会計も調査させて、彼がやってきた表に出せないことをすべてまとめておこう。もし彼がアフリカに行きたくないなら、会社の規則に従って処理し、解雇する」

遠山陽介は応じた。「わかりました、耀兄さん。手配します」

太田一鳴は立ち上がって帰ろうとした。「耀兄さん、他に何かありますか?なければ、先に帰ります」