翌日、夏目初美が目を覚ましたとき、すでに11時近くになっていた。
それでもまだ眠気が残り、体中が痛くだるく、ただベッドに横たわって昏睡状態で眠り続けたいと思うだけだった。
ちょうど工藤希耀がウォークインクローゼットから出てきた。彼は生き生きとしているだけでなく、すでに服装も整えていた。高級オーダーメイドのスーツを身にまとい、エリートの禁欲的な雰囲気を醸し出していて、このままどんなフォーラムやサミットに出席しても全く問題なさそうだった。
夏目初美は思わず不満げに言った。「なんで一晩中あんなことをしたのに、私はヘトヘトなのに、あなたはむしろ元気になってるの?正直に言いなさい、本当に陰を採り陽を補うという邪悪な技を習得したんじゃないの?」
工藤希耀は昨夜ようやく満足したのだった。
今、夏目初美と向き合うと、もちろん一層愛おしく思えた。「そんな技なんてあるわけないじゃないか。もちろん全ては愛のおかげさ。愛が僕を疲れ知らずにし、愛が僕をより元気にしてくれるんだ。」
夏目初美はふん、と言った。「じゃあ、私は愛してないってこと?」
工藤希耀は前に進み、布団ごと彼女を抱き上げた。「愛しい妻ももちろん旦那を愛してるよ。昨夜、君の満ち溢れる愛を感じたばかりだ。でも僕が君を愛する量に比べたら、君が僕を愛する量はほんの少しだけ少ないかもしれない。でもそれがいいんだ。僕が君を愛する量が君が僕を愛する量より多いほうがいいんだから。」
少し間を置いて、「初美、お風呂を準備するよ。少し浸かって、それから食事をして、服の試着とヘアメイクに行こう、いいかな?」
夏目初美は彼の「僕が君を愛する量が君が僕を愛する量より多いほうがいい」という言葉に心が溶けそうになった。
それは彼女を喜ばせるための言葉ではなく、彼が本当にそう思っていることを知っていたからだ。
そこでツンデレ気味に頷いた。「うん、いいわよ。」
その可愛らしい様子に工藤希耀は思わずもう一度彼女にキスをし、笑いながら浴室へ向かった。
お風呂に入って昼食を済ませると、夏目初美は再び元気を取り戻した。
そして工藤希耀と車で、前もって約束していたメイクスタジオへ向かった。