工藤希耀は遠山陽介に遠慮せず、「じゃあ、先に上がるよ。美咲が着いたら、すぐに上がってきて、君たちの出番を待つから」と言った。
そして夏目初美と山口競たちを連れて、まずホテルの回転ドアを通り、エレベーターに乗って、最上階の宴会場に到着した。
宴会場はすでに華やかな衣装に身を包んだ人々で賑わっていた。
会場全体も豪華で格調高く装飾され、工藤グループの強大な財力を十分に示していた。
工藤希耀は社長として、もちろん入場するとすぐに全ての人の注目の的となった。
しかも今日は噂の工藤夫人を同伴すると聞いていたので、皆はもちろん彼にさらに注目していた。
すぐに株主の一人が笑顔で近づいてきた。「工藤社長、待ちに待っていました。こちらが奥様ですね、お噂はかねがね伺っておりました」
「工藤社長、お久しぶりです。今日はぜひ一杯お酌させていただきたいですね。こちらが奥様ですか?本当にお美しい、まさに才色兼備のお二人、天が結んだ縁ですね」
「工藤社長、今年はご苦労様でした。あなたがいなければ、私たちが家でくつろいでいるだけで倍の配当金をもらえるなんてことはなかったでしょう。後ほど、ぜひ何杯か杯を交わさせてください」
工藤希耀は微笑みながら一人一人に挨拶した。「立山叔父さん、大丸叔父さん、お二人とはお久しぶりですね。もう社長なんて呼ばないでください、お二人は目上の方なんですから、希耀と呼んでください」
「田中叔父さん、どうしてそんな呼び方をするんですか、よそよそしいじゃないですか?」
皆と挨拶を交わした後、ようやく夏目初美を紹介した。「こちらは私の妻の夏目初美です。非常に優秀な弁護士で、現在は自分の法律事務所を経営しています」
皆は笑顔で初美に挨拶を始めた。「工藤夫人は美しいだけでなく、才能も抜群ですね。私たちの工藤社長の心を射止めたのも納得です」
「工藤夫人はまだお若いのに、すでに有名な弁護士なんて、本当に素晴らしい!」
「工藤夫人の法律事務所はどこにあるのでしょうか?必要な時に相談に行けるように...」
夏目初美は工藤グループ社長夫人として初めて公の場に出たものの、以前にも大きな場面を経験していたので、臆することはなかった。