第180章 自己救済と救出

話していた大男の彪司は大きく驚いた。「何だって？お前は工藤グループの社長夫人だって？」

前で運転していた東雄も驚いた。「くそっ、阿部のやつ俺たちを騙して、死に道に追いやろうとしてるんじゃないか？」

工藤グループの社長なんて、彼らのようなろくでもない暴力団員ごときが手を出せる相手じゃない。十回生まれ変わっても敵わないだろう！

夏目初美はチャンスを感じた。やっと話す機会を得たのだ。

もちろん、さらに攻めていかなければならない。「私は本当に工藤グループの社長夫人です。工藤希耀とは正式に結婚証明書を持つ合法的な夫婦です。私の夫は私をとても愛していて、結婚指輪だけでも800万円もするんですよ。信じられないなら、彼のインタビューをネットで検索してみてください」

「阿部潤はあなたたちにいくら払ったの？彼自身今は自分の身を守るのに精一杯で、あなたたちに数万円、せいぜい十数万円しか払えないでしょう？私はあなたたちに100万円、いや200万円払います。今すぐあなたたちの携帯にログインして、お金を振り込むことができます」

「あなたたちは知らないかもしれませんが、私自身も法律事務所のオーナーで、口座には常に数百万円の現金があり、すぐに振り込める限度額もあります。あなたたちはお金を受け取って、私を車から降ろせばいい。私が誰かに見つけられる頃には、あなたたちはもう遠くに行っているでしょう」

「それに、面子のために、私は警察に通報することもないし、夫に追及させることもありません。だからあなたたちは安心してお金を受け取って立ち去ることができます。これからは家を買うにしても、小さなビジネスを始めるにしても、あなたたちには資金ができる。今とは全く違う生活ができるようになります。よく考えてみてください！」

必死に言い終えると、彼女は再び自分の舌を強く噛んだ。

それでようやく意識をはっきりと保つことができた。

今は彼女の自己救済にとって最も重要な瞬間だ。絶対に混乱してはいけない、自分の運命を自分の手に握らなければ！

200万円？

彪司と東雄はすぐに心を動かされた。

一人100万円あれば、故郷に帰って新しい生活を始めることができる。これからは他の人たちのように、妻と子供と暖かい家庭を持つことができる。考えるだけでうれしくなる。