第207章 なぜ徹底的に追い詰める必要があるのか

水野雄太はもちろん夏目初美がもう彼を愛しているはずがないことを知っていた。

彼女はとても愛憎がはっきりした人で、愛するときはどれほど全身全霊を捧げるか、愛さなくなったときはどれほど果断に決別するか、決して少しの迷いも引き延ばしもしない。

おまけに、彼女の側にはすでに工藤希耀がいる。彼がどれほど認めたくなくても、認めざるを得ない、あらゆる面で彼より優れた新しい男がいるのだ。

どうして彼のことをまだ思っているはずがあるだろうか？

しかし雄太は確かにずっと初美のことを考え続け、ずっと後悔し続けていた。

特に彼女が去った後、彼の仕事や生活、さらには両親や家族との関係がますます混乱していくにつれ、彼はますます彼女を恋しく思うようになった。

彼はかつて初美を追いかけていた頃、もし自分が心変わりしたら必ず報いを受けると誓ったことさえあった。

もしかして、すべては彼への報いなのだろうか？

思いもよらず、今日彼は祖母の病室で初美に会うことになるとは、まさに驚きの喜びだった。

そして初美がなぜ彼の祖母を見舞いに来たのか、確かに彼の祖母を尊敬していることもあるだろうが、彼の理由がないはずがない、どうして少しも旧情を忘れているはずがないだろう？

彼がいなければ、彼の祖母は彼女にとってただの見知らぬ老婦人に過ぎない。

そうでなければ、街中にはあれほど多くの見知らぬ老婦人がいるのに、彼女がすべてを見舞えるわけがない。もちろんすべては彼のためなのだ！

彼女は前回会ったときよりもさらに美しくなっていた。一挙手一投足、すべてが言葉では表せない風情と韻味を漂わせていた。

……明らかに、これらの変化はすべてあの男が彼女にもたらしたものだ。

なぜ彼に対しては常に拒絶し、他の男に対しては別人のように変わるのか？

なぜ彼が彼女を丸5年も守り続けたのに、最後には勝利の果実が他人に奪われてしまったのか。

彼女の最も美しい姿、最も良い年頃も、完全に彼とは無関係で、すべて他人の食卓の上の美食になってしまったのか？

彼女がまったく旧情を忘れていないのなら、彼にはまだ挽回のチャンスがあるはずだ。

万が一、彼が本当に挽回できなくても、肉が食べられなくても、少しでもスープを飲めるなら、自分と家族のために少しでも息をつく機会を得られるなら、それでもいい。