第209章 犬男女が恥知らずの限界を更新する

竹野心が突然現れたため、水野雄太は一瞬気を取られた。

ようやく夏目初美はその隙を捉え、自分の腕を振りほどいた。

すぐに数歩後退し、冷たい目で竹野心を見つめた。「この世で誰が『盗む』という言葉を使おうと、唯一あなただけは使う資格がない。あなたが以前どうやって他人のものを盗んだか、そんなに早く忘れたの?」

「それに、こんなゴミを欲しがるのはあなただけ。あなただけが価値を見出して、他の人は見向きもしないわ。だから、あなたのゴミをしっかり見張って、しっかり鍵をかけて、二度と出てきて人を不快にさせないでよ!」

心はますます悲しみと怒りに満ちた。「あなたが欲しくないなら、なぜお見舞いに来たの?なぜ彼と引っ張り合いをしているの?私の前で演技するのはやめて。あなたが何を考えているか分からないと思う?私があなたを苦しめたから、今度はあなたが私を苦しめたいだけでしょう?」

雄太の表情は彼女よりも険しかった。「何を発狂してるんだ、先に帰れって言っただろう!」

事態はすでに上手くいっていなかったのに、さらに邪魔が入って、本当に最悪の運だった!

心は目を真っ赤にして言った。「私が先に帰れば、あなたは元恋人と昔を懐かしみ、また不倫関係を結べるとでも思ったの?もう一度言うわ、夢見るのはやめなさい。私が死なない限り、あなたが彼女と復縁できる日は二度と来ないわ!」

言い終わると、突然腰に手を当て、歯を食いしばって初美の前にひざまずいた。「私が間違っていたのは分かってる。あなたのものを奪うべきじゃなかった。でもこれは私一人の意思でできることじゃない。お腹の子供も罪はないの。——あなたはそう思わないかもしれないけど、この子は何も知らないし、選択する余地もなかったの。」

「だから、お願い、彼の前に現れないで、彼とのつながりを全て断ち切って。あなたはもっと素敵な男性を見つけたじゃない。あなたより背が高くて、あなたに優しくて、大きな企業の社長さえも。あなたはもう成功者、人生の勝者なのよ。私に生きる道を与えてくれないの?ひざまずくだけじゃ足りない?頭を地面につけなきゃダメ?」

この段階まで来て、心はもちろん憎しみがなくなったわけではなかった。

彼女が憎まないわけがない。彼女を裏切り、少しも優しくしてくれない。誰だって憎むだろう?