第217章 真の愛は誤解や困難の証明を必要としない

しかし夏目初美は結局、大江瑞穂と一緒に帰ることができなかった。

なぜなら翌朝早く、彼女が瑞穂の家のドアをノックしたとき、出てきたのはなんと佐藤沢暁だったからだ!

初美は一瞬固まり、ようやく自分がドアを間違えていないことに気づいた。

表情が曇り、「佐藤隊長がなぜここにいるんですか?あなたは忙しい身なのに、今頃になって瑞穂のことを思い出すなんて。彼女の家のドアがどっち向きに開くかまで覚えているなんて、まるで西から太陽が昇るようなものですね!」

沢暁は初美が良い顔をしないだろうとすでに予想していた。

むしろ彼は瑞穂にこのような真の友人がいることを嬉しく思い、誠実に言った。「夏目さんが怒っているのは分かります。今回は確かに約束を破りましたが、明かせない理由があったのです。瑞穂には約束しました、今後は同じようなことは起こさないと。たとえ他のことを明かせなくても、少なくとも私が無事だということは知らせます」

「もし信じていただけないなら、私の行動で証明させてください。この間、瑞穂を助け、面倒を見てくださって本当にありがとうございます。この忙しい数日が過ぎたら、私たちで夏目さんを食事にお招きします」

初美はまだ不機嫌そうに、「佐藤隊長の約束に何の価値があるんですか?瑞穂が一番寄り添いと支えを必要としていた時、約束なんて何の役にも立ちません。結局、約束は温もりも安心も与えられないんですから!」

沢暁はうなずき、何か言おうとした時。

瑞穂が出てきた。「初美、来てたの?今日は車を出してくれる人がいるから、もう気にしないで、帰って休んでいいよ。着いたら連絡するから、心配しないで、私は大丈夫だから」

初美は彼女の目が少し赤いこと以外は、確かに元気そうなのを見た。

そして両親もいるのに、沢暁がここで普通に立って話せているということは、両親はすでに彼に会っており、おそらく彼を認めているのだろうと考えた。

それ以上は言わず、「わかった、じゃあ先に帰るね。時間ができたら電話してね。おじさんとおばさんを送った後も、急いで戻ってこなくていいよ。ちゃんと落ち着かせるべきことを全部済ませてからでいいから。どうせ事務所には私がいるから、百二十パーセント安心して」

瑞穂が返事をすると、初美は警告するように沢暁を一瞥してから、立ち去った。