第232章 愛する人に最高のすべてを

残念ながら、夏目初美もある意味では工藤希耀と同じで、雰囲気を台無しにする第一人者だった。他人も自分自身も、感動が三秒と続かない。

まだ帰り道の途中で、彼女はすでにヨットのメンテナンス問題を心配し始めていた。「ちょっと調べてみたんだけど、こんな大きなヨットは、もうスーパーヨットって呼ばれるレベルなのよ。年間の係留費、メンテナンス費、水道光熱費だけでも少なくとも五、六十万はかかるわ」

「それでもまだ小さい出費で、クルーの給料が大きいのよ。十人だけ雇ったとしても、年間一、二百万はかかるわ。それに燃料費という大きな出費も…一年で考えると、まさにお金を燃やしているようなものね!だからねぇ、ダーリン、結婚式の後、これ売っちゃわない?」

「ダーリンがお金持ちだとしても、こんな風に燃やすものじゃないでしょ?結局、見た目はいいけど実用的じゃないし、持っていても大して使い道ないわよね!」

希耀は彼女をじっと見つめた。「そんなに早く気が変わったの?さっきは好きだって言ったのに、こんなにすぐ心変わりするなんて。俺はこのくらいのお金なら燃やせるよ。牛も買えるのに、牛を繋ぐ綱や牛の世話を心配してるの?」

「でも『ダーリン』って呼び方は気に入ったよ。好きだな、これからもハニーはそう呼んでね!」

初美が鼻をしわめて小声で反論するのを見て、「まるで本をめくるように簡単に気が変わったみたいに言わないでよ。あなたのためにお金を節約したいだけじゃない。結局、見栄えはいいけど実用的じゃないし、山間部の子供たちに寄付した方がましよ!」

希耀は笑った。「初美、君が俺のことを考えてくれてるのはわかってる。でもね、第一に、君が好きなものなら、どんなに高くてもそれだけの価値があると思うんだ。なぜ俺がそんなに必死に働いているかって?愛する人に最高のものを与えたいからだよ」

「以前は特別愛する人がいなかったからいいけど、今はやっと見つけたんだ。少しくらい自慢させてもらえないかな?これも俺がこれからも頑張る原動力になるんだ。第二に、買った時から考えていたんだ。このヨットはレンタルできるし、結婚式の後には、きっと結婚式のために借りたい人もたくさん出てくるだろう」