太田一鳴は慌てて手を振った。「どこに行っても注目の的になるわけでもないし、何人もの女の子に慕われているわけでもないよ。美咲、誤解しないでくれ。今や会社の噂話を全て把握しているなら、会社中で私と耀兄さん、陽介に『男徳クラスの正班長とその二人の副班長』というあだ名がついていることも知っているはずだよ」
工藤美咲は思わず笑い出した。「本当?そんな話聞いたことないわ。後で確認してみるわ。もし本当なら、その調子で頑張ってね!」
少し間を置いて、「えーと...そろそろ行ってもいい?」
一鳴も落ち着かない様子になった。「美咲、やっぱり送っていくよ。後で準備してから、改めて告白するよ。告白は本来、男がするべきことだし。告白してから、一歩一歩、順を追って進んでも遅くないよ」
美咲は急いで彼を見た。「もしかして私を信じていなくて、時間稼ぎをしようとしてるの?ダメよ、今日中に決着をつけるわ。私はもう決めたの、絶対に引き下がらないし、あなたも逃げられないわよ!」
一鳴はまだ躊躇いの表情を浮かべていた。「でも、本当に急すぎるよ。美咲に後悔してほしくないし、急いで君を困らせたくない...」
美咲は顔を赤らめながら急いで言った。「私は後悔なんてしないし、急いでるとも思わないわ。とにかく今夜は遠慮しないから、さっきみたいに...要するに、今夜が過ぎたら、もう私から離れることはできないわ。一生私と一緒にいて、私だけを愛さなきゃダメ。後悔する機会なんて与えないんだから!」
一鳴は唇を引き締めた。「後悔なんてしないよ。幸せが僕の頭上に降りてきたんだから、絶対に自分から手放したりしない。たとえ美咲が後で後悔したとしても、もう手放すことはできないだろうね。ただ...んっ...」
美咲の答えは、前に飛びかかって彼の口をふさぐことだった。
一鳴が息を切らして、再び攻勢に出ようとしたところで、彼女は身を引き、顔を赤らめて言った。「ただ何?もう一言も聞きたくないわ。また何か言ったらまたキスするわよ。今日中にキスであなたを屈服させられないなんて思わないでね!」
一鳴は笑いと困惑の間で揺れた。「この小娘、誰にこんなこと習ったんだ?僕はただ、事前に準備をして、君に...えーと、最高の体験と、忘れられない思い出を...んっ...」
美咲は言った通りに、彼が言い終わる前に再び彼の口をふさいだ。