第239章 幸せが突然訪れる

工藤美咲は確かに決心していた。今夜は自分にも、太田一鳴にも逃げ道を与えないつもりだった。

だから車に乗るなり、彼女は先手を打った。一鳴に何も言わせず、「一鳴兄さん、話があるの。でもまず義姉さんに電話しないといけないから、少し待っていて」

そして、急いで夏目初美に電話をかけた。

電話が終わるとすぐに切って、電源を切った。

さらに一鳴のスマホを取って電源を切り、彼をじっと見つめた。「一鳴兄さんが家に帰らない時は、いつも青山台に泊まるんでしょ？行きましょう！」

太田一鳴は少し呆然としていた。「美咲、自分が何をしているか分かってる？」

美咲は反問した。「どういう意味？私がずっと夢遊病で、自分が何をしているか全く分からないって言いたいの？安心して、私はとても冷静よ。自分が何をしているか分かってる！それとも一鳴兄さんは青山台に行きたくないの？だったら直接ホテルに行きましょう。相手が一鳴兄さんなら、場所はどこでもいいわ」

一鳴は少し言葉に詰まった。「で、でも...早すぎないか...いや、そうじゃなくて、美咲、君は話があるって言ったよね。ちょうど僕も話があるから、まずは話し合おう？」

美咲はまだじっと彼を見つめていた。「早い？むしろ遅すぎたと思うわ。後悔してるくらい！こんなに長く引っ張って、こんなに長く迷うべきじゃなかった。直接...咳、既成事実を作るべきだったのよ。どうせあなたも私も独身なんだから、遠慮する必要なんてないわ！」

一鳴は少し黙った後、真剣な表情になった。「美咲、否定はしない。僕は今でも君を愛している。さっきのことで...それも否定できない。でも僕が言いたいのは、君は本当に僕を愛しているのか、それとも僕まで失うのが怖くて、自分を騙して無理に僕を愛そうとしているのか、その違いを理解しているのかということだ」

「もし前者なら、もちろん僕は嬉しいし光栄だ。でも可能性は低いと思う。だってこれだけ長い間、君は自分の本当の気持ちに気づかなかったのに、どうして突然気づくことができるんだ？」

「もし後者でも、たとえ...たとえ君が次善の策として僕を選んだとしても、でも心の中では確かに僕を愛している、女性が男性を愛するような愛で。たとえ君の愛が僕の愛ほど深くなくても、君が耀兄さんに抱いていた愛ほど深くなくても、君が僕を愛しているなら、僕は気にしない」