第247章 雨に濡れたから、人に傘を差し出す

翌日、夏目初美が法律事務所に出勤する時、何度も迷った末、昨夜の佐藤沢暁との偶然の出会いについて大江瑞穂に話さないことにした。

沢暁が理解したと言ったのだから、まずは彼の実際の行動を見てみよう。

瑞穂に大きな期待を抱かせて、結局大きな失望を味わわせるのは避けたかった。

瑞穂の関心はもっぱらゴシップに向いていた。「どう?昨夜の義理の妹の進展は?ドラマより面白かった?」

初美は頷いた。「ドラマほど面白いとは言えないかもしれないけど、ドラマより目の保養になったわ。美咲はかなり女社長の素質があるわね」

そして昨夜の工藤美咲が太田一鳴を強引にキスした経緯とその後の展開を大まかに話した。

瑞穂は目を輝かせて聞いていた。「すごい、あなたの義理の妹、勇気あるわね。キスしたいと思ったらすぐ行動に移すなんて。もちろん、落とさないわけがないわ。あのドラマでも言ってたじゃない、男の心を掴むには、まず唇を奪えって。唇を奪えば、心も遠くないでしょ?」

初美は笑った。「それも一鳴がずっと美咲を愛していたからこそよ。そうでなければ、何を言っても何をしても無駄だったわ。今どうなっているかはわからないけど、きっとぐっすり眠っているんじゃない?結局、一晩中ハードな体力仕事をしたんだろうし」

瑞穂はケラケラ笑った。「十中八九どころか、百パーセントね。だから彼らを邪魔しないで、あなたの義理の妹が目を覚まして、自分から連絡してくるのを待ったほうがいいわ」

そして感嘆した。「彼女は本当に勇敢ね。決めたらすぐ行動に移して、少しも躊躇しない。どうして私は彼女の半分も愛と恨みに勇敢になれないのかしら?」

初美は彼女に余計な悩みや悲しみを抱かせたくなかったので、笑いながら言った。「人それぞれ状況が違うから、一概には言えないわ。そういえば、午後は2時に司法局に行くのはどう?3時だと、話が終わらないうちに相手の退勤時間になりそうで、また行かなきゃいけなくなるかもしれないし」

「早く協定を結んで、実行に移せば、支援を必要としている人々に早く援助を提供できるわ。そうすれば、もっと多くの人を救い、避けられるはずの悲惨な事件をもっと防げるかもしれない」