第251章 苦心を理解した

兄弟二人とも格闘の達人で、最初はまだ一撃一蹴りと、型にはまった、それらしい戦いをしていた。

戦っているうちに、二人はだんだん力が尽きてきたが、互いの心にはまだ燃える炎があった。

そのため、もはや型などどうでもよくなり、地面に転がって麻花のようにもつれ合い、まるで子供の喧嘩と変わらなくなった。

もつれ合いながら、息を切らしながらも罵り合うのを忘れなかった。

一人がまだ怒鳴り終わらないうちに、「俺がこの世で一番信頼していたのはお前だ。この世のどんな人間も裏切ったり傷つけたりする可能性があると思っていたが、お前だけは違うと信じていた。結果的にお前は俺の妻に目をつけるような行為で、俺の信頼に応えたというのか?」

「やったくせに認めようともせず、問題が起きても積極的に解決しようとせず、逃げることばかり考えている。逃げれば問題が解決するなら、俺だってとっくに逃げてるよ。それなのにまだ口では俺がお前に恩があるとか、お前が一番大切にしている兄弟だとか言う。そんな風に大切にするのか?お前は問題を解決してから、大切にするなんて言う資格があるんだ……」

もう一人はすぐに反論した。「お前を大切にしすぎたからこそ、顔向けできなくなったんだ。恥ずかしくて、申し訳なくて。もし俺が本当にお前の言うような卑劣で恥知らずな人間なら、こんな風になるわけがない。なのに俺をそんな風に思うなんて、十数年の兄弟なのに、俺はお前の心の中ではそんなにクズだったのか?」

「もし俺が本当にそんなことをしたなら、仕方ないさ。でも俺はしていないし、そんなことを考えたこともない。お前は勝手な思い込みで、俺に罪を着せた。俺が何をしても心虚だと思い込んでいる。お前は俺を軽く見すぎだし、自分自身も軽く見すぎだ!」

互いに力が尽きかけ、動きも遅くなっていたのに、罵り合ううちに突然また力が湧いてきて、再び激しくもつれ合い始めた。

遠くから全体を見守っていたボクシングジムのスタッフを驚かせるほどだった。彼らのジムは開業以来、こんな風に「ボクシング」する客を初めて見た。

二人は友達だと思っていたが、そうではなく、敵同士だったのか?

何か問題が起きて、ボクシングジムに迷惑がかかることはないだろうか?

幸い、すぐに二人のうちの一人が先に止めた。スタッフはようやく安堵のため息をついた。