土曜日に起きて朝食を済ませると、夏目初美と工藤希耀は車で空港へ向かい、岡山市行きの便に搭乗した。
そして十一時過ぎに、無事岡山空港に到着した。
その後、希耀が事前に誰にも知らせていなかったため、夫婦二人でタクシーを拾うにしても、ホテルに泊まるにしても、すべて自分たちでやることになった。
ようやく食事を済ませて落ち着いたときには、もう午後二時近くになっていた。
希耀は初美に言った。「ハニー、ホテルで少し休んでいて。僕は先に陽介に会いに行くよ。陽介と会って、夜の食事の場所を決めたら、また電話するから、いいかな?」
初美は頷いた。「いいわ、ちょうど少し眠いし。五時以降に電話してね、起こさないように」
希耀と陽介だけで話すべきことがあるのを理解していたので、彼女はむしろ邪魔をしないようにするつもりだった。
希耀は彼女の頭を撫で、唇に軽くキスをしてから、上着を手に取り、先に出かけた。
残された初美は特に眠気はなかったが、簡単に身支度を整えてからベッドに横になった。
夫が無事に陽介に会えて、心の結び目がほどけることを願っている!
希耀はエレベーターを出るとすぐに木下沢に電話をかけ、陽介が今どこにいるか尋ねた。最後に木下に警告した。「わざわざ君たちの遠山社長にサプライズを与えるために来たんだ。もし後で君の社長が十分驚いていなかったら、責任は君にあるからな!」
木下は陽介の腹心の特別補佐として、この数日間の陽介と希耀の間に問題が生じていることを感じ取っていた。
しかし彼は一言も余計なことを聞く勇気はなく、まして勝手な推測などできなかった。
彼は心配せずにはいられなかった。自分の上司は今でも「地方の大物」ではあるが、以前の「天子の側近」と比べるべくもなく、時間が経てば経つほど、将来本社に戻って以前の「一人の下に万人の上」という第一実権副社長になることは難しくなるだろう。
まさか工藤社長が突然自ら訪れ、しかも自分の上司にサプライズを与えようとするとは思わなかった。
これは自分の上司が工藤社長の心の中で依然として以前と同じように重要であり、たとえ二人の間に問題が生じていても、それは一時的なものであり、すぐに元通りの仲になれることを意味している。
木下がバカなことをして、希耀のこの計画と苦心を台無しにするはずがなかった。