夏目初美は考え込んだ。「確かに工藤先代社長の血筋が継ぐべきでしょうね。あなたは今は工藤姓を名乗っていても、美咲や美咲の子供とは違うわ。それで、美咲にはこの考えを話したの?」
工藤希耀は首を振った。「いいえ、しばらくは話すつもりもないんです。彼女が口を滑らせて一鳴に話してしまうのを避けたいから。でも今考えていたんですが、もしかしたら直接一鳴に、そして太田叔父さんと叔母さんに伝えた方がいいかもしれない。そうすれば彼らは利益のためだとしても、美咲を粗末に扱うことはできないでしょう」
「そうすれば彼女は一生心配することなく、何の不安もなく過ごせるわけね?」
初美はしばらく考えてから言った。「それも悪くないわね。なぜ天皇の娘は縁談に困らないかというと、皆が姫君を娶ることでどれほど大きな利益が得られるかを知っているからで、だから姫君を粗末に扱うことはできないのよ」
「でもそれは心からの好意ではないわ。美咲が望むものではないでしょう。私たち家族として、彼らが純粋に美咲という人間を大切にしているわけではないと知ったら、心が痛まないでしょうか?まだ言わないでおきましょう。一鳴の様子を見ましょう」
「彼は美咲を何年も愛してきたのだから、株式の利益がなくても彼女を粗末に扱うことはないと信じています。彼が美咲を守り、美咲と義両親の関係を維持するために時間と労力を費やす限り、きっと大丈夫でしょう」
希耀は「うん」と頷いた。「一鳴の人柄は信頼できます。悲観的にならずに、様子を見ましょう。もし将来、彼も太田叔父さんも叔母さんも、本当に心から美咲を大切にしてくれるなら、その時に私の計画を伝えても遅くはありません」
「その時は彼らにとって大きな驚きになるでしょう。驚いた後、美咲をさらに大切にするかもしれません…あっ、以前は一鳴という人間が美咲を託すに値すると思っていただけでしたが、実際にこの段階になって、考慮すべき問題があまりにも多いことに気づきました。やはり愛は結婚の墓場なのでしょうか?でも私たち二人が一緒にいる時はそんな感じがしないのはなぜでしょう?」
初美は傲慢に言った。「それはもちろん私が素晴らしいからよ。あなたにそういうプレッシャーを全く与えていないから。あなたは宝物を拾ったのよ!」