第268章 銀河系を救った幸運

大江瑞穂はくすくす笑った。「どうして説得しなかったって?むしろ証明書を発行してくれた職員さんがすぐに私たちを説得したわよ。周りの職員さんも、他に証明書を受け取りに来ていたカップルたちも、みんな口々に私たちを諭してきたの。まだ証明書も受け取っていないのに、もう手を出し合っているじゃないか、証明書を受け取ったら、もっとひどい喧嘩になるんじゃないかって」

「たとえまだ気持ちがあるとしても、すぐに決断できないなら、家に帰ってよく考え直してから来るべきだって。そうしないと、後で完全に敵同士になって、後悔しても遅いって。大人なんだから、取捨選択を学び、損切りを知るべきだとも言われたわ」

夏目初美はさらに面白がった。「私、その場にいなかったなんて残念!きっとすごく面白かったでしょうね!」

瑞穂は初美を睨みつけた。「面白いって、何よ!芝居を見ているわけじゃないんだから!でも今日は確かにその場にいた人たちに無料の芝居を見せちゃったわね。特に証明書を受け取った後の、みんなの表情といったら...言葉にならないわ。誰かがぶつぶつ言ってたわ、森が大きければ何でも鳥がいるって、私たちは絶対に相性抜群だから、ぜひ一緒にいて欲しい、他の人に迷惑をかけないでって」

「今日は機嫌がいいからいいけど、普段なら絶対に言い返してたわ。彼らに何がわかるっていうの?私たちは自分たちが幸せだってわかってるんだから、それでいいじゃない?」

初美は笑いを堪えながら頷いた。「そうよ、彼らはあなたたち二人を変わり者だと思ってるけど、水を飲めば冷暖自知、自分が幸せかどうかは自分にしかわからないものよ。おじさんとおばさんには伝えたの?知ったら、きっと喜ぶわよ」

瑞穂は言った。「まだ伝えてないの。今夜帰ってからビデオ通話するつもり。サプライズになるでしょうね。この数日は引っ越しの準備をしないといけないから、事務所のことは手が回らないかもしれない。初美、ごめんね」

初美は急いで言った。「瑞穂、あなたは自分のことを気にして。事務所は最近忙しくないし、何か手伝えることがあったら言ってね。そういえば、旦那さんの家はどのくらいの広さ?何か大きな家具は必要?結婚証明書をもらって、新居に移るなんて、おめでたいことが重なったんだから、私も何かお祝いしないとね」