西園寺老夫人は夏目初美が再び自分の心を見透かしたことに驚き、顔に一瞬の動揺が走った。
彼女は確かに西園寺誠一の最期の時に、工藤希耀を家に迎え入れることを考えていたのだ。
その後の葬儀では、悲しみに暮れながらも、心の中では別のことを考えていた。
家の大きな財産は、息子や孫に継がせなければならない。西園寺家の血筋と家名が息子の代で途絶えてしまい、将来自分や息子が死ぬときに、孫や息子に見送られないなんて。
そんなことになれば、死んでも目を閉じることができない!
だから西園寺誠一の葬儀を終え、数日休んだ後、老夫人は神戸市への旅の準備を始め、準備が整うとすぐに行動に移した……
しかし老夫人の動揺はほんの一瞬で消えていた。
彼女は家全体のことを考えているのだ。佳未や佳子の子供たちは外の姓を持ち、誠一の二人の娘も将来は他家の人間になる。何十年もかけて築き上げた人脈と家業を、よその人間に簡単に譲り渡すべきだろうか?
古今東西、恩知らずな人間が絶家を食い物にした例は少なくない。
娘婿や孫娘婿といった完全な部外者が西園寺家の肩に乗って出世し、将来本当に成功したら、西園寺家の娘たちを虐げ、西園寺家を価値のないものとして貶めるかもしれない。
自分が奥さんの実家のおかげで、絶家を食い物にして今日があると知られるのを恐れるあまり。
年中行事の際にも、花一つ贈ろうとせず、紙銭一枚すら焼こうとしないだろう。
そんな愚かなことは彼女にはできない!
だから誠一が夜中に彼女を訪ねてくるなら、いつでも来ればいい。
彼女は西園寺家のため、同時に息子のため、二人の孫娘のためを思っているのだ。心配したり恐れたりする必要など全くない!
老夫人はそう考えると、もはや動揺することもなくなった。
初美を見て言った。「私はもう九十近い年寄りだが、こんな遠くまで来た。あなたたちに嫌われ、うまくいかないとわかっていても、それでも来たのよ。何のためか?西園寺家全体のため、家族全員のためなのよ」
「誠一は小さい頃から物わかりがよく、家全体のこと、家族全員が快適に暮らせることを自分の責任だと思っていた。彼が私の考えを知っても、私を責めるどころか、賛成して私の苦労を理解してくれるわ。この点については、お嫁さん、あなたは心配しなくていいのよ」
初美は完全に言葉を失った。