昼食を食べて少し休んだ後、初美は荷物をまとめ、帰る準備を始めた。
彼女は元々少なくとも二、三泊する予定だったが、希耀と話し合いがついて、共通の理解に達したので。
もう長居する必要はなかった。結局、夫婦二人とも仕事が忙しいのだから。
荷物をすべて片付けると、初美は希耀の意見を求めた。「あなた、お母さんの日記を神戸市の私たちの家に持って帰りたいんだけど、いいかしら?ここに置いておくと湿気やすいし、私たちがここに戻ってくるのはやっぱり少ないから。もし万が一泥棒に入られたり、誰かに故意に壊されたりしたら、後悔しても遅いわ」
「今でもかなりボロボロになってるのに、今日まで残りの部分が保存できたのは本当に幸運だったわ。でも、これからもそんなに幸運とは限らないでしょう。お母さんの一生の記録なんだから、私たちがきちんと保管しないといけないわよね?」
希耀はその言葉を聞いて、しばらく黙っていた。
そして頷いた。「じゃあ、持って帰ろう。俺も前に持って帰ろうと思ったんだけど、正直...二度目を開く勇気がなくて、だからこの家を買った時、そのままタンスに押し込んだんだ。当時はこんなに古びてなかったんだけど、常に持ち歩くと、いつか失くしてしまって、二度と見つからなくなるのが怖かった」
「頼れる人もいなかったから、一時期は母の衣冠塚の近くに埋めたこともあった。今、持って帰るのはいいことだ。これからは見たい時に見られる。母はあの苦難をすべて実際に経験した人なのに、それに耐える勇気があった。俺は見るだけなのに、どうして勇気がないなんてことがあるだろう!」
初美は彼の肩をポンと叩いた。「それはもちろん、あなたがお母さんを心配しているからよ。愛する人のことを心配すると冷静さを失うものだから、勇気が出なかったのね。私だって、実は今でも二度目を開く勇気がないわ。だからこそ、私たちはお母さんのために正当な償いを求めなきゃ!」
「うん、いつかは必ず...」
初美が日記を慎重に収納し、ドアと窓にしっかり鍵をかけると。
夫婦は帰路についた。
その後数日間、初美は希耀の様子を注意深く見守り続けた。
彼の気分が本当に良くなり、全体的にずっと軽やかになったのを見て、後悔と安堵の両方を感じた。