第350章 自分自身を軽蔑する

夏目初美は工藤希耀の暗い表情を見て、もう説得するのをやめた。「じゃあ、一緒に待ちましょう。ちょうど日光浴でカルシウム補給もできるし」

工藤希耀は彼女も同じように頑固だと分かり、車に残らせることさえ不可能だと知っていた。まして先に帰らせることなど論外だった。

それ以上何も言わなかった。

夫婦は黙ったまま20分近く待った。一台の車が高速道路の出口から出てきて、一瞬ブレーキをためらった後、ゆっくりと彼らの方へ近づいてきた。

車が停まり、ドアが開くと、案の定、老人の顔が見えた。

昨日と比べると、何歳も老けたように見え、顔全体が老け衰え、干からびて見るに堪えない状態だった。

しかし確かに本人だった。

初美はほとんど即座に口を開いた。「『私たちもすぐに空港に向かい、できるだけ早く京都市に戻ります。それ以降はあなた方に迷惑をかけることはありません。今回は完全に安心してください!』だそうですが、首長はこうやって私たちに迷惑をかけず、完全に安心させるつもりだったんですか?」

希耀も冷笑しながら続けた。「あなたは自分が母の墓前で懺悔する資格があると思っているのか?祖父母の墓前で懺悔する資格があると?最初から最後まで無責任なクズ、約束を守れない屑!」

老人の顔色はますます悪くなった。

藤原秘書が車を停めるとすぐに降り、彼を支えて、ようやく車から降りることができた。「申し訳ない、また約束を破ってしまった。昨日は確かに空港まで行ったんだが、考えれば考えるほど、どうしても行かなければならないと思った。この後、生きている間にもう一度行く機会があるかどうか分からなかったからね」

「私の仕事も、体調も許さない...だから迷った末に、こっそり行くことにした。あれは私があなたたちのお母さんに長年負い続けてきた対面での謝罪だ。今の私にできる唯一のことでもある。君たちが私を罵り、責めても、それは当然のことだ。一言の不満も言うつもりはない」

彼は昨日本当に空港に行き、そこでも長い間迷っていた。

結局、搭乗直前になって、どうしても関口町に行かなければならないと決心した。

そこで星野秘書に西園寺老夫人を京都市に送り届けてもらい、自分は藤原秘書を連れて空港を出て、車を借りてすぐに出発した。

まさかこんなに早く希耀と初美の耳に入るとは思わなかった。