第359章 哀しみは心の死に勝るものなし

西園寺佳未は西園寺夫人が黙り込んだのを見て、彼女の急所を突いたと思った。

心が少し緩んで、続けて言った。「それに、おばあさまが言っていた『二番目の奥様』のことですが、お母さまだって当時…工藤希耀に腎臓提供を承諾させるために、離婚してもいいと言って、彼のお母さんが入れるように席を譲ると言ったじゃないですか？」

「結局、お母さまは自分だけが言ったり行動したりできて、他人はダメだということですか？しかもおばあさまは二番目の奥様のことを言っただけで、本当にお母さまとお父さまの離婚を望んでいたわけではなく、ただ彼らをなだめるためだったんです。そうでなければ、なぜ今こんなにお母さまの離婚に反対しているのですか？」

「おばあさまがあまりにも急いでいて、お母さまの気持ちを全く考えていないことに心を痛めているのは理解できます。でも、実際には起こっていないことで意地を張って、自分も苦しくなり、家庭も崩壊させる必要はないと思います。後で後悔しても、本当に遅すぎますよ」

西園寺佳子は姉が上手く説得しているのを見て、急いで続けた。「そうですよ、お母さま。これは実際には何も起こっていないことじゃないですか？むしろお母さまがこれ以上騒ぎ立てれば、おばあさまの後ろめたさやお父さまの罪悪感も消えてしまい、本当に損をするのはお母さまです」

「もしお父さまとおばあさまが離婚に同意したら、あの私生児が気が変わって戻ってきたり、おばあさまがお父さまに再婚して息子を作るよう促したりしたら…損をするのはお母さまであり、私たち姉妹や子供たちですよ！よく考えてみてください！」

これはまさに姉妹二人が最も心配していることだった。

両親が本当に離婚したら、いつか工藤姓の男が気が変わったとき、彼が戻ってくるのを止められる人はいなくなる。

そうなれば、家の財産も人脈も、すべてあの私生児のものになるだけでなく、

家の女主人も、あの私生児の扱いにくい妻に変わり、姉妹は自分の実家に帰るにも彼女の顔色をうかがわなければならなくなる。

万が一、私生児が絶対に戻ってこないとしても、父親の地位や身分、おばあさまの孫への執着を考えれば、若くて美しい女性と再婚して息子を作らせることなど、難しいことだろうか？

そうなれば、姉妹の居場所はなくなる。