第372章 天国への道を彼女は行かない

夏目初美は久山葵の言葉が終わる前に、白目をほとんど天井まで向けていた。

たとえ夏目おばあが本当に寝たきりになったとしても、彼女には息子がいるし、双葉淑華だけが嫁でもない。

わざわざ仕事を辞めて戻って世話をする必要があるのだろうか?

以前の殴打が足りなかったとでも思っているのか、侮辱や恥辱が足りなかったとでも?それとも以前の生活がまだ十分に惨めではなく、もっと惨めになりたいとでも?

そもそも夏目おばあは本当に寝たきりになったかどうかも分からない。彼女はただ純粋に淑華を苦しめたいだけで、彼女が幸せになるのを見たくないのかもしれない。

世の中にこんなに愚かで、救いようのない人がいるなんて!

初美はなんとか汚い言葉を吐き出すのを我慢して、皮肉っぽく葵に尋ねた。「何の取り柄もなく、悪い癖だらけで、しかも留置所に入ったことのある中年のおやじに、どんな会社や工場がそんな高給を払って雇うっていうの?何を買われたの?彼の腐った性格?彼の愚かさ?」

「世界中で、あのカッパみたいな夫を宝物のように思っている人だけが、そんな話を信じるわ。人の歯が笑いで抜け落ちるのも怖くないのね!」

葵は乾いた笑いを浮かべた。「お父さんとお母さんもそう言っていました。どんなまともな会社や工場がそんな従業員を雇うでしょうか?社長が慈善事業でもしていない限り。たとえ社長が慈善事業をしていたとしても、何か問題を起こして後悔することを恐れるはずです。」

「でもお父さんとお母さんは二番目の叔母を止められませんでした。彼女は戻ると主張して、姑の世話をするのは嫁としての当然の責任だと言いました。」

「お父さんは後で叔父さんが働いている会社について調べてみました。それは貨物運送会社で、まあまあ正規の会社のようです。彼は電気溶接もできるでしょう?週6日のうち、貨物の運搬だけでなく、会社内部や顧客企業の電気溶接も行うので、給料が少し高いのも正常な範囲です。だから、二番目の叔母に行かせることにしたんです。」

結局、あの年齢の人を、彼女が望まないのに、誰かがロープで会社に縛り付けることができるだろうか?

もしかしたら、今回は夏目本俊が本当に向上心を持ち、本当に更生するかもしれない。