第373章 愚かさを貫き通す

林田愛子の顔にようやく本当の笑みが浮かんだ。「希耀、あなたがそう思ってくれるなら、私も安心よ。そうね、あなたと初美はこんなに仲が良いのに、私が杞憂する必要なんてないわね。うちの初美があなたに出会えたのは、本当に幸運だわ。これまで受けてきた苦労なんて、もう無視してもいいくらいね」

工藤希耀は再び微笑んだ。「僕が初美に出会えたことこそ、最大の幸運です。でも彼女にこんなに素晴らしい叔父さんと叔母さんがいることも、同じく幸運なことです」

林田愛子は手を振った。「そんなことないわ。これは相互関係よ。まず初美が稀に見る良い子だから、私たちも…」

夏目初美は笑いながら二人の会話を遮った。「叔母さん、あなた、いつまでお互いを褒め合うつもり?褒められてる本人は恥ずかしくなくても、聞いてる私は恥ずかしくなってきたわ。この話題はやめて、別の話にしない?」

林田愛子は笑いながら叱るように言った。「この子ったら、まだ照れてるのね?褒められたら素直に聞いておけばいいのよ、あなたなら当然のことじゃない」

希耀は笑いながら言った。「叔母さんはまだ彼女のことをよく知らないんですね、いつも謙虚なんですよ。じゃあ、この話はやめましょう。双葉淑華さんの退職の件について話しましょうか。さっき従姉から少し聞きましたが、彼女もあまり詳しくないようなので、叔母さんに聞いてみようと思って」

愛子は空笑いをした。「あなたたち、もう知ってたの?私はまだ知らせないでおこうと思ってたのよ。初美が怒るといけないから、わざわざ電話して、まだ病院に来ないように言ったのに。あなたたちが神戸市に戻ってから話そうと思ってたのに。まさか…」

そう言いながら初美を見た。「そう、彼女は確かに退職したわ。あのお婆さんの世話をするために帰ると言ってね。あのお婆さんが人と口論して、言い負かされそうになると人を押そうとしたけど、逆に自分が足を怪我して、それ以来自分で生活できなくなったらしいわ。あなたの叔父さんが妹に見に行かせたけど、確かにそれは本当のようね」

初美は唇を歪めた。「多くの悪事を働けば自滅するってことね。天は見ているってことかしら」