十二月下旬に入ると、時間は大きくは各業界、小さくは具体的な会社や個人の忙しさの中で、あっという間に過ぎていった。
夏目初美が気づく間もなく、クリスマスと元旦が過ぎ去った。
続いて旧暦の臘八節、小正月も過ぎ、大晦日がやってきた。
初美と工藤希耀という、社長やボスという外套を纏った高級「社畜」二人はようやく時間ができ、ゆっくり休むことができるようになった。
夫婦は朝までたっぷり眠り、目覚めた後に思う存分「運動」を楽しんだ。
そして身支度を整え、車で工藤家の本宅に戻り、年越しの食事をすることにした。
工藤家の本宅はすでに正月飾りで華やかに彩られていた。
工藤美咲は二人より暇だった。結局彼女は「労働者」に過ぎず、意思決定をする必要もなく、全体を統括する必要もなかった。
そのため早くから家の年越し用品や年越しの食事の準備を始めていた。
初美と希耀がようやく帰ってきたのを見て、美咲は嬉しいながらも、
口では容赦なく、「お兄さんと義姉さんはまだ帰ってくることを覚えていたんですね。今日が大晦日だということも、妹が一人いることも、家族がいることも忘れてしまったのかと思いましたよ!」
初美は慌てて笑いながら、「こんなに可愛い妹や、こんなに豪華な家を忘れるわけないじゃない?今、私に何かできることがあれば、可愛い妹さん、遠慮なく言ってね。袖まくりもしたし、私が華奢だからって遠慮しないでね。」
希耀も笑って、「忘れるわけないだろう。忙しかっただけさ、お前が買い物できるようにお金を稼いでいたんだよ。」
美咲は「ふん」と鼻を鳴らし、「本当に私のためなの?それとも義姉さんのため?お兄さんは義姉さんに会ってから、異性に夢中で人間性を失ったみたい。あなたの言葉を信じると思う?」
「でもいいわ、今は私のためにお金を稼いでくれる人もいるから、あなたとは争わないわ。」
初美は面白くて、「そうよね、あなたには一鳴がいるんだから、他に何がいるの?そういえば、一鳴はまだ来ないの?陽介兄さんは仕事が忙しすぎて、帰って来られないのよね。」
「幸い一鳴がいるから、今夜は私たち三人だけで年越しの食事をするのは寂しすぎないわ。」
美咲は言った。「もうすぐ着くはずよ。さっき電話したら、太田叔父さんと太田叔母さんを送った後、帰りの途中だって言ってたわ。」