橋本燃がトイレに連れて行かなければベッドで用を足すという態度を見せると、温井時雄は急いで彼女を抱き上げてトイレへ走った。
「便器に座りたくない、おしっこを立ってさせて……」
温井時雄:「……」
これを聞いた温井時雄はもう怒りを抑えられず、橋本燃を強く便器に押し付けた。
「好きにしろ、嫌なら勝手にしろ」
「自分でするなら自分でするわ、なんでそんなに怒るの、ひどい人!」便器に座った橋本燃は文句を言いながら服を脱ぎ始めた。
温井時雄はそれを見て、急いで振り返りドアを閉めた。
この狂った女は酔っ払うと、本当に彼を他人とは思っていない。
トイレから出た温井時雄は、体が熱くてたまらず、首のネクタイを緩め、ボタンを二つ外して息をした。
結婚して三年、彼女はお酒を飲んでも一杯だけ軽く口をつける程度で、彼は彼女が酔っ払った姿を見たことがなかった。
まして酔っ払った後の彼女の行動がこんなに異常で知的障害のようになるとは思いもしなかった。
しかし、患者を救命するときに手際よく、虎と戦うときに鋭い目をした女性と、目の前の酔っ払って弱智というか知的障害のような女性を結びつけると、酔った彼女には言葉にできないほどの——可愛らしさがあった。
もし結婚した三年間で、彼女が彼に対して本当の自分を見せていたら、こんなに生き生きとして可愛らしく、かつ凛々しい彼女を、彼は三年間も空気のように無視していただろうか?
いや、彼女は決して彼に本当の自分を見せなかっただろう。
なぜなら彼女が彼と結婚したのは、田中雪満に復讐するため、田中雪満に娘が夫を奪われる苦しみを味わわせるためだった。
どうして本当の自分を見せて、彼の態度を変えさせるようなことをするだろうか?
そう考えると、温井時雄はまた心がもやもやとして息苦しくなり、窓を開けてタバコに火をつけた。
しかし今夜のタバコは、いつもより薄く感じられ、何本吸っても心の中のもやもやと息苦しさを和らげることができなかった。
「ドン……」とドアにぶつかる音がして、温井時雄が振り返ると、目の前の光景に彼の体は一瞬硬直した。
橋本燃は膝まで届く白いバスタオルを体に巻き、雪のように白い肩と美しいラインの鎖骨を露出させていた。タオルの下には長くバランスの取れた脚、靴を履いていない白い足が白いカーペットを踏んでいた。