第45章 春宵一刻は千金に値する

「わ、私、綺麗?」大きなグラスの水を飲み干した橋本燃は、酔った目で沢田慕人を見つめた。

「綺麗だよ、君が一番綺麗だ!」沢田慕人は優しく微笑みながら答えた。

「私が綺麗なら、どうして私のことを好きにならないの?私はセクシーじゃないから?」橋本燃は顔を赤らめ、潤んだ大きな瞳に不満をいっぱい浮かべて沢田慕人を見つめた。

「君が綺麗かどうか、セクシーかどうかに関係なく、僕は君が好きだよ。君は酔っているんだ、まずはゆっくり休んで。」沢田慕人は子供に対するように優しく忍耐強く橋本燃をなだめた。

「本当?」

「もちろん本当だよ。」

「じゃあ、キスして。キスしてくれたら、おとなしく寝るから。」橋本燃はお菓子をねだる子供のように、純粋な笑顔で沢田慕人を見つめた。

橋本燃の子供のような無邪気で純粋な笑顔を見て、沢田慕人の心臓は何かに触れられたかのように、ときめいた。

三年間の結婚歴がある女性なのに、どうしてこんなにも澄んだ魅力的な眼差しを持っているのだろう?

まるで水で洗われたダイヤモンドのように、純粋で完璧で、冒涜したくないと思わせる。

彼女に近づくことが、まるで罪を犯すかのようだ。

それでも、沢田慕人は橋本燃に近づくのを抑えられなかった。まるで背後に見えない手が彼を前に押しているかのようだった。

「何をしているんだ?」

温井時雄が入ってきて、沢田慕人の唇が橋本燃からわずか10センチの位置にあるのを見て、怒りを爆発させて叫んだ。

「どうして入ってきたんだ?」沢田慕人は温井時雄に現場を押さえられた恥ずかしさを微塵も見せず、冷静な声で尋ねた。

「私がどうやって入ってきたかは、あなたが気にすることじゃない。今すぐ出て行ってくれ。」温井時雄は冷たい声で追い出した。

橋本燃はベッドの横に立つ温井時雄を見て、好奇心いっぱいの目で観察した。「あれ!あなた誰?すごく綺麗で素敵ね、私の夫よりもっと素敵!」

そう言ってから間違ったことを言ったと思ったのか、急いで沢田慕人の手を引き、緊張した表情で言った。「ダーリン、怒らないで。私の心の中では、あなたが世界で一番素敵で、一番かっこよくて、一番ハンサムな男性よ。この男はクソで、あなたと比べものにならないわ。」

温井時雄:「……」