「どんな会社の人がそんなに凄いの?時雄と沢田慕人も良いと言うなんて?」松本志遠は少し驚いて尋ねた。
松本羽源とHOTデザイン総監のデュークの関係が良く、さらに温井時雄が道を開いてくれたので、HOTグループとの協力は確実だと思っていた。
今、こんなに強力なライバルが現れて、松本志遠の二日間興奮していた心に一気に冷水を浴びせられた。
「ブライアンは明かさなかったから、私たちもどの会社かわからないわ」松本晴子は松本羽源を見た。「あなたがデュークさんに連絡して、彼が知っているか聞いてみたら?」
「わかった、今すぐデュークに電話して聞いてみる」
吉田おばさんが香り高いお茶を運んできて、松本晴子はカップを一つ取り、温井時雄の前に差し出した。
「時雄、お茶どうぞ!」
「ありがとう!」
温井時雄はお茶を受け取り、精巧な茶碗を持って一口啜った。
非常に新鮮な上等の雨前龍井茶で、口当たりは繊細で滑らか。ただ、目の端から、ガラス越しに雪の中で跪いている姿が見えた。
普段好んで飲む龍井茶が突然美味しくなくなった。
松本晴子は雪の中で松の木のように動かずに跪いている橋本燃を見て、目の奥に冷たい笑みが閃いた。
十数分経って、松本晴子は心配するふりをして尋ねた。「おばあさま、何があったの?どうして燃を雪の中で跪かせているの?天気が寒すぎるわ、早く彼女を家に入れましょう!」
温井時雄が昨夜彼女が酔っていたため、酔いが覚めた後に後悔するのを恐れて、やむを得ず彼女を気絶させたと説明したが、
松本晴子の直感では、温井時雄が彼女を気絶させたのは橋本燃に関係していた。
彼はきっと酔った橋本燃が沢田慕人に世話されるのを心配して、彼女を気絶させたのだ。
帰ってきて橋本燃が寒い雪の中で跪いているのを見て、松本晴子の心はとても気が晴れ、嬉しかった。
しかし温井時雄の前では、彼女は優しく思いやりがあり、寛容な一面を見せなければならなかった。この恩は偽りでも頼まなければならない。
松本志遠は外を見て、初めて橋本燃が雪の中で跪いていることを知った。
しかし温井時雄が何事もなかったようにお茶を飲んでいるのを見て、彼も質問しなかった。
彼は今心配事があり、橋本燃のことで口を開く価値はないと思った。