第163章 燃、私はあなたを愛してもいいですか

橋本燃は7時間かけて家に帰り、胃はすでに空っぽになっていた。

一杯の麺はあっという間に彼女によってスープの一滴も残さず食べられた。

「美味しすぎる、本当に美味しい。高橋お兄さんがこんなに料理上手なのに、レストランを開かないなんて、多くの人が幸せを逃しているわ」と橋本燃はお腹を撫でながら感嘆した。

「私がレストランを開くお金に困っていると思うのか?もし君が私の手伝いとしてウェイトレスをやってくれるなら、考えてもいいけど?」

「私がウェイトレスの給料に困っていると思うの?あなたの手伝いをする時間があったら、株をもっと研究して、自分でボスになった方が良くない?」

「だから私たちはどちらもお金に困っていない人間だ。レストランを開いて人類の舌を幸せにする仕事は、生計を立てるためにレストランを開く必要がある人たちに任せよう。私はただ君の口を幸せにする責任を負えばいい」と高橋俊年は言いながら、橋本燃を食卓から引き上げ、ソファに座らせ、ドライヤーを手に取って彼女の髪を乾かし始めた。

「高橋お兄さん、髪はすぐ乾くから、そんな面倒なことしなくていいよ」と橋本燃は言いながら高橋俊年の手からドライヤーを奪おうとした。

高橋俊年がドライヤーを上に引き上げると、橋本燃は彼の手を引っ張った。

橋本燃の前に立っていた高橋俊年は彼女に強く引っ張られ、体が前に傾き、一気に橋本燃の上に倒れた。

高橋俊年の唇が橋本燃の白く滑らかな首筋に落ち、一瞬のうちに、橋本燃特有の香りが高橋俊年の鼻に入り込み、彼はかつてない執着心を抱いた。

胸元の柔らかく温かい感触は、さらに彼の目の奥に欲望の色を素早く走らせた。

思わず橋本燃をより強く抱きしめ、彼女の体から漂う魅惑的な香りを貪欲に嗅いだ。

橋本燃も二人の突然の親密な動きに一瞬驚いたが、すぐに我に返り、急いで上にいる高橋俊年を押しのけた。

「ごめんなさい、高橋お兄さん、ぶつかって痛かった?」橋本燃は頭を下げ、まるで間違いを犯した子供のように、高橋俊年の目を見る勇気がないようだった。

高橋俊年の目の奥の欲望の色はすでに消え去り、声は何事もなかったかのように自然だった。

「私の体が弱いことを知っているなら、この老人と物を奪い合わないでくれ。この老いた手足を怪我させたら、治療に手間がかかるのは君だぞ」