高橋俊年は彼女の言葉に応えず、ただ非常に優しい動作で橋本燃の足の裏の水ぶくれ一つ一つに薬を塗っていた。
灯りの下、真剣に自分の傷の手当てをしてくれる彼の姿を見つめていると、まるで毎回自分が任務から不注意で怪我をして帰ってきたとき、彼がいつも真剣に傷の処置や包帯を巻いてくれたときのようだった。
実は俊年の医術もかなり優れていて、もし医者になっていたら、藤堂健太に劣らない成果を上げる医師になっていただろう。
ただ彼は血を見ると気分が悪くなるため、健太のように手術刀を持って患者の手術をすることはできなかった。
「高橋お兄さん、ありがとう。毎回私が怪我をすると、いつもあなたという専属医師が包帯を巻いたり、傷を清潔にしてくれたりして。あなたのようなリーダーがいるなんて、私たち社員の幸せです」燃は心から感謝の言葉を述べた。
燃が経済的に完全な自由を手に入れられたのも、俊年のおかげだった。
彼女の投資の目は確かだったが、俊年はさらに戦略的な計画を立てるのが得意だった。
彼女が何かに投資しようとするたびに、俊年は詳細な分析をして、投資する価値があるかどうかを教えてくれた。
俊年と知り合って7年間、彼は実の兄のように彼女に学びを与え、家族の温かさを与え、彼女がどこで冒険しようとも、家のことを心配する必要がないようにしてくれた。
なぜなら俊年が橋本辰の世話と保護をしっかりと手配してくれるので、彼女は安心して自分のやりたいことに集中できたからだ。
「7年前、私がA国で発作を起こしたとき、もしあなたが適時に解毒してくれなかったら、今頃私は白骨になって、墓の上の草も何メートルも伸びていたでしょう。あなたの専属医師になるのは当然のことじゃないですか?それに、あなたこそ私の専属医師なんだから、私があなたにお礼を言うべきです」
俊年の体内の毒は幼い頃に誰かに投与された非常に珍しい毒で、毒素がゆっくりと体の根本を蝕んでいた。燃は何年も研究したが、完全に解毒する薬は見つからず、ただ俊年の命を繋ぎとめることしかできなかった。
俊年は今でも毎週一度毒が発作を起こし、普段は颯爽として高貴な彼が、汗だくになり生きるのも辛そうに苦しむ姿を見るたび、燃はいつも自責の念に駆られた。